【女の子と魔法と】魔導機人戦姫U 第14話〜【ロボットもの】

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10 :3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします ◆22GPzIlmoh1a [saga sage]:2014/07/20(日) 21:11:01.87 ID:PGdg3XaSo
茜(……誰?)

 茜は見渡しながら音の出所……いや、声の主を捜して辺りを見渡す。

 しかし、いくら見渡しても声の主らしき者はいない。

 だが、不意に一点、仏間と隣の部屋を繋ぐ襖に視線を奪われる。

 その先は明日華と茜の寝室だ。

 そして、かつては勇一郎も使っていた寝室である。

 父がいなくなって広くなった寝室を、茜はまだ受け入れ切れず、
 眠る時以外は好んで入ろうとは思わなかった。

 茜は襖に吸い寄せられるように、だが怖ず怖ずと四つん這いで近付き、
 膝立ちになって襖を開ける。

 誰か、いるのだろうか?

 今の時間は母も出払っており、寝室に入る者などいない。

茜(誰か……いるの?)

 茜は言葉に出来ぬ疑問を、小首を傾げるような仕草と共に投げ掛け、
 それと共に室内を見渡す。

 すると――

?????<―か――で――さい>

 襖を閉じていた時よりもハッキリと、その“声”は聞こえた。

茜(……誰……?)

 茜は驚いて身体を震わせながらも、立ち上がり、
 声の聞こえて来た方向に向けて歩き出す。

 そこには、母が亡き祖母・紗百合と大伯母の美百合から譲り受けた大きな鏡台があった。

?????<な―ない―くだ――>

 鏡台に歩み寄ると、さらに声はクリアに聞こえる。

 開けてはいけない。

 そう言われてきた鏡台の引き出しを、茜は躊躇わずに開けた。

 そして、すぐに目についた一つの黒いケース。

 宝石箱でも小物入れでもない、革製の質素な物だ。

茜(これ……)

?????<なかないで……ください……>

 茜がそれを手に取ると、ようやく声の内容を聞き取る事が出来た。

茜(なかないで………泣かないで?)

 茜はその言葉を心の中で反芻する。

 ケースの蓋は呆気なく開き、中から出て来たのは銀色の十字架だった。

 茜は僅かに躊躇いながら、その十字架を手に取る。
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