幼馴染「10年後の8月に・・・」

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682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/01(土) 01:30:55.67 ID:O7vnMoE+O
カラスとキツネのフレンズなんだね!乙
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 18:43:42.20 ID:HyxS09J20
更新乙
何年でも待ってるから完走するんやでー
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/09(日) 11:57:27.95 ID:9lZFVdCqO
今更存在を知り 読まさせていただきました
これから応援させていただきます
頑張ってください
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 15:02:49.37 ID:mkxKfBtA0
メ欄に携帯アドレスいれてsageって表示させなさい
686 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/04/18(火) 22:31:43.15 ID:5ceC8Nv50
男「お、コーヒーメーカーじゃん」

幼「男君ってそんなにコーヒー好きでしたっけ?」

男「まぁな」

コーヒーを飲むようになったのはいつからだろうか?
はじめは少し背伸びして、格好つけようと思って飲み始めたコーヒーだが、
気付けば朝晩と必ずコーヒーを飲むように習慣付いてしまった。

男「コーヒーはいいぞ。寝る前の一杯なんて最高だ」

幼「えー?寝れなくなったりしないんですか?」

男「人間ホントに眠いときは何飲もうが爆睡するぞ」

眠々飲んで気が付いたら朝とかザラである。
687 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/04/18(火) 22:33:15.31 ID:5ceC8Nv50
幼「コーヒー煎れるのにも色々道具があるんですね」

男「俺ね、あれやってみたい、ラテアート」

幼「らてあーと?」

男「コーヒーの上に泡立てた牛乳敷いて絵を描くんだ。クマとか猫とか」

幼「へぇ!それは素敵ですね!よくそんな小洒落たもの知ってましたね?」

男「いろいろあんだよ...」

前の世界で幼がいなくなってからというもの、俺は彼女を一切作らなかった。
仲のいい女友達はいたが、どうしても幼の姿がチラついてしまい、深い関係に踏み込めなかったのである。
そしてかわりに一人で出来る趣味に没頭した。どれも長続きはしなかったが。
コーヒーもその中の一つで、一時期は豆を煎るところまで手を出していた。
688 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/04/18(火) 22:34:42.08 ID:5ceC8Nv50
幼「お茶請けとかも置いてありますね」

男「あー、なんか買ってくか。アルフォートとか」

幼「まぁホワイトロリータ一択ですね♪」

男「いやいやルマンドだろ」

幼「ありえねーです。いいとこバームロールですよ」

男「は!だったら俺はチョコリエールを推すね」

幼「...」

男「...」
689 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/04/18(火) 22:38:11.67 ID:5ceC8Nv50
>>681お前はゆるさない
>>682-683 乙あり
>>684 あざっす

書き貯めたデータが消えたぞくそったれ
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 23:20:34.49 ID:sOjR/N8DO
ブルボンしかないのか
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 07:35:16.94 ID:flPfWwFqO
シャレオツやね
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/24(月) 02:09:21.09 ID:NSq7HoiR0
追いついた 面白いので期待
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/24(月) 02:18:24.90 ID:d1iq6I+A0
>>692
ハゲろsage
694 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/01(月) 23:35:40.23 ID:JVN4PW0X0
ーーーー

男「色々廻ったが、結局大したものは買わなかったな」

幼「お目当てのものが買えたからいいんですよー」

男「そりゃよござんした」

幼「あ!男君!折角なので駄菓子や寄って行きましょう!」

男「...駄菓子屋か」

バス停から真っ直ぐ家に向かわず、反対方向に少し歩く。
ノウサギが跳ね回ってる坂道を上がり、アマゴが泳ぐ橋を渡ると見えてくる...
絵に描いたような駄菓子屋。

いつから放置されているか分からないガチャガチャの脇を通り、常に開けっぱなしの入り口をくぐる。

幼「思い起こせば最近来てなかったですねぇ。おばあちゃんは元気でしょうか?」

男「そうだなぁ...ほんと...久しぶりだなぁ」
695 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/01(月) 23:36:10.16 ID:JVN4PW0X0
男「おーいばーさん、生きてるかー?」

駄菓子「お?ババァんとこのクソガキじゃないか。久しぶりだねぇ」

男「どっちもババァだから何言ってるのかわかんねぇよ」

幼「お久しぶりです♪」

駄菓子「おー、お転婆娘んとこの幼ちゃんも一緒かい。相変わらず仲がいいのねぇ」

男「幼母って昔からああだったのか」

駄菓子「ちちゃい時はよくウチで爆竹やらかんしゃく玉やら買って近所の大人を困らせてたもんだ」

男「...あっさり想像がつくな」


696 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/01(月) 23:36:38.70 ID:JVN4PW0X0
男「さて、いろはと烏になんか買ってやるか」

さっと店内を物色する。外見こそ古ぼけた駄菓子屋だが、品揃えはしっかりしている

男「いろははつまみ系...ビックカツとかが合いそうだな。烏はなにが好きなんだろうか...」

幼「男君!昔の写真が飾ってありますよ!」

男「んー?おー、みんなこの駄菓子屋で撮ったやつか?」

駄菓子「大体はウチに来てたこの辺の子供達さ。幼母の子供の頃の写真もあるよ」

幼「あ!これですね!」

男「なんでウシガエル持ってピースしてるんだよ」
697 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/01(月) 23:37:19.45 ID:JVN4PW0X0
駄菓子「たしかお前達の写真もあったはずだけどねぇ...あ、これだこれだ」

指さされた一枚の写真に目をやる。そこには仲良くラムネを飲む泥だらけの三人の子供が写っていた...

男「...ん?三人?」

幼「この女の子は...誰でしょうか?」

気付いた瞬間背筋がぞっとした...

そして思い出した...直感で理解した...
698 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/01(月) 23:37:57.73 ID:JVN4PW0X0
駄菓子「んー?この子かい?...確かこの写真は幼ちゃんが森で迷子になって、男が探し出してきたときに撮った写真だった気が...」

幼「私が崖から落っこちてしまった時の話ですね?男君が無茶して私を捜し出すために一人で森に探しに来てくれたときの...」

駄菓子「あー...思い出した。この女の子も確か迷子だったんだよ。それを幼と一緒に男が拾ってきたんだった。いつの間にかいなくなってた不思議な子だよ」

...そりゃ不思議な子だろうな...なぜならその子は...
子供の頃の俺が、いたずらに手を差し伸べたその子は...






八咫烏「っ!?...そんなッ!?」

いろは「この気配...どういうこと、直接干渉は出来ないはずでしょ」

ばば「...」




???「ごめんください。...すこし暑くて。...」

黒くて長い髪をなびかせ、吸い込まれそうな瞳でこちらを見てくる。

死神「ラムネを一つ、いただけるかしら?」ニコッ

699 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/01(月) 23:38:51.49 ID:JVN4PW0X0
物語としてやっと進むかな?
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 01:42:53.84 ID:dDigL+EFO
更新乙、だから男に執着してたんだな
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 07:34:06.36 ID:1VGXWLnHO
おおー
更新来てた乙です
702 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 22:55:58.73 ID:cRUSjbX30
時間が止まったようだった。
その瞳はどこまでも黒く、一瞬でも反らすことが許されないようであった。

幼「わはー...すごい美人さんですねー」

駄菓子「いらっしゃい...この辺りじゃ見ない子だね?」

死神「幼い頃、少しお世話になったのですよ。久しぶりに来てみようと思いまして。」

そう言ってクスリと笑う彼女...
しかしその目はずっとこちらを見ている。

死神「それに...こちらには会いたい方もいましたので...ね?」ニコッ

男「...そうですか、会えるといいですね。それではこれで」

幼「わわっ!男君!?いきなり引っ張らないでくださいよー」
703 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 22:56:52.87 ID:cRUSjbX30
幼の手を引き店を出る。あいつらへのお土産は買えなかったが、まぁホワイトロリータを少し分けてやればいいだろう。

幼「男君...!少しっ!早いです!」

決して振り向かず、ただ前に進む。
とにかく今はあいつから逃げたかった。

ひょんな事から10年前にタイムスリップした俺だが、幼と過ごす一日一日が本当に幸せだった。
いつからか幼が死ぬなんて事は忘れていた...忘れた事にしていた。
だが...あいつが来てしまった。幼を“正しく”殺すため、あいつが来てしまった。

幼「ちょ、ちょーーっとストップです!」グイッ

男「おわっ!おま、以外と地力あんのな」

幼「女の子にそういうこと言ったら駄目ですよ...それよりどうしたんですかいきなり?」

男「んにゃ...なんでもねーよ」

幼「いや、そーいうのマジでいいんで、何があったか言って下さい」

男「お前たまに口悪いぞ?どーしたの?」
704 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 22:57:28.00 ID:cRUSjbX30
幼「それはこっちのセリフですよ...あの女の子見た瞬間から何かおかしいですよ?知ってる子なんですか?」

男「いや...全く」

幼「もしかして....私の知らないうちに...そんな...」

男「...」

幼「ヤッっちゃったんですか?」

男「ヤッてねーよ!?お前清純系ヒロインとしてその発言はどうなの!?」

幼「失礼ですよ!女の子は少なからずみんな不純です!!」

男「怒るトコそこなの!?」

705 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 22:58:03.88 ID:cRUSjbX30
男「いや...あの子はホントに知らないんだ。ただ嫌な予感がしてな...」

まぁ嘘は言っていないはずだ。

幼「...とりあえずそういうことにっ!?」バタッ

男「幼!?」

いきなり倒れた幼を間一髪で抱き留める。
一瞬最悪な展開を予想したが、まだ普通に息をしている。
おそらく気絶しただけだろう。

死神「あら、いきなり逃げるなんて酷いじゃない。」

背中から発せられた声に背筋が凍る。
辺りが静かになり、どこからか吹く涼しい風が身体を撫でる。

死神「お久しぶりね...男くん?」
706 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 22:59:12.36 ID:cRUSjbX30
幼を抱き留めていた手に力が入る。
なぜこいつはここまで追ってきた...こいつは幼に何をした...
疑問視だけが頭の中を駆けめぐる...

死神「いやね、そんなに熱い視線を送らないでもらえるかしら?」クスクス

男「...幼に何をした」

死神「うふふ、大丈夫よ、ただ気絶しているだけだわ。流石に直接命を奪うなんて出来ないもの...ねぇ?」

男「...」

死神「ただ、目の前でイチャイチャされるものだから、少し意地悪をしたくなってしまったの、ごめんなさいね。」ニコッ

言っている事とは裏腹に微笑む死神の目は笑っていなかった。
ただただ冷たく、心臓を捕まれている気分だ。

男「...俺に何かようですか?」

死神「用って程でもないのだけれど、あなたに一つ提案をしにきたのよ。」



死神「あなた、私のものにならないかしら?」


707 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:00:18.24 ID:cRUSjbX30
男「どういう...ことだ?」

死神「勿論あなたにも見返りはあるわよ?私の欲しい物はあなたただ一人なの。そうすれば他の物なんてどうでもいいわ?たとえば...今抱きかかえてる女の子の命とか。」

男「!?」

死神「ねぇ...悪い提案ではないと思うのよ?」

そう言って一歩ずつ近づいてくる死神。

死神「あなたは私に手を差し伸べてくれたわ。暗い洞窟で誰も話してくれない、誰も遊んでくれない。そんな時にあなたは私を外に連れ出してくれた...」
708 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:00:54.18 ID:cRUSjbX30
『うおっ!?びっくりした!!』

『グスッ...グスッ...?』

『んー?ねー?どうしてきみはないてるの?』

『...あなただれ?』グスン

『ぼく?ぼくはおとこだよ!きみは?』

『...しにがみです...』

『へぇー!しにがみちゃんっていうんだ!よろしくね!』

『へ...?』

『きみもまいごなんでしょ?おれのおさななじみもいままいごでなー。このくらいのおんなのこみてない?』

『...しらない』

『そっかー、あいつどこまでいっちゃったんだろうなー。じゃあいこっか』

『...わたしはここからでられないの...みんなをふこうにしちゃうからって...ここにとじこめられたの』

『なにいってんのー?べつにいりぐちふさがってないじゃん?』

『いや...だから...』

『よくわかんねー!いいいからはやくいくぞ!ひがくれちゃう!』グイッ

『あの...ちょ』
709 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:01:56.50 ID:cRUSjbX30
死神「あの日、あなたが外に連れ出してくれたからわたしは天界にあがれたの。そして私は望まれない死を持った人を浄化するために...私と同じ、寂しい思いをしている魂を一つでも減らそうと努力したわ。」

死神「ただ...その子が死んでからのあなたを見るのは辛かったわ...毎日死んだような目をしていた。だから私はずっと想っていたわ...あなたの魂は私の元で永遠の幸せを与えようと...」

死神「そしてやっと呪縛から解き放たれて私の側に来てくれると思った矢先に...生神も余計な事をしてくれたわね。でもいいの、こうしてあなたにまた会えたのだから。」

男「...」

死神「いままで辛かったでしょう?もういいのよ?」

一歩...また一歩と近づいてくる。
俺がコイツのものいなれば幼は生きていられるのか?
幼が幸せにに生きられるのが俺の望み...なら

幼のいない10年間は辛かった...何度も何度も悔やんで泣いた...ならいっそ
710 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:02:32.47 ID:cRUSjbX30
幼を抱く腕の力が抜けていく...

ひんやりとした手が頬に触れる。

死神「さぁ男くん、永久に私のものになりなさい」スッ




刹那。


感覚が研ぎ澄まされる。

全ての筋繊維が呼応する。

体が軽くなる。






「ちょっと体借りるわよ」



711 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:03:01.54 ID:cRUSjbX30
何が起こったのか分からなかった。
一陣の風が吹いた瞬間。意識が覚醒する。
蝉の爆音が耳を支配し、暑苦しい日差しが肌を射す。
気が付けば死神から離れていた。

(まったく...今回は許してあげるけど、二度とその手を緩めるんじゃないわよ)

男「...畑仕事はどうした居候」

(その主が死んだら居候ができないじゃない、このポンコツ主が)

聞き慣れた笑い声が脳内に響く

男「...さんきゅーいろは」

いろは(お礼はルマンドでいいわよ)

男「おまえにゃホワイトロリータで十分だ」


712 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:04:00.70 ID:cRUSjbX30
死神「...九尾の狐か...使獣如きが神に逆らうのか?」

男「すみませんねぇ、これが仕事なもんで。っておい、勝手に口が動くんだが」

いろは(あんたに憑依中なんだからしょうがないでしょ)

死神「あくまで邪魔をするか九尾の狐よ」

男「だから仕事だって言ってるじゃないですかー、頭悪いんですかー?流石脳内お花畑のメンへラビッチは違いますnおいぃぃぃぃ!!おま!いま俺が言ってる感じになっちうゃうから!やめて!!」
713 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:05:12.47 ID:cRUSjbX30
死神「...まぁいい、あまり時間もないからな。男くんだけは無理矢理でも貰っていこうか」スッ

男「!?やばっ!こっちk


「“不慮の事故”」



死神「!?」バッ

バキバキドサッ!!

男「木が倒れた...?」

いろは「間に合ったのね」

「いやぁ、久しぶりに飛んだので...遅れて申し訳ないッス」

死神「...どういうことだ...八咫烏?」

八咫烏「いやぁー、やむにやまれない事情っていうやつッスね」
714 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:05:55.25 ID:cRUSjbX30
死神「私に抵抗するとはどういうことか分かっているのかしら?」ギロッ

男「...八咫烏」

八咫烏「一応今は男様の捕虜ッスし、ばーちゃんにも頼まれちゃいましたからね」

八咫烏「どうするッスか死神様?さすがに神級の使獣二匹を下界で相手するのはきついんじゃないッスか?」

死神「...あなたの考えはよく分かったわ。精々後悔しなさい」ジジッ

男「...死神が薄くなってる?」

いろは(神は長い時間下界にいられないのよ。本来居るだけでもよくないことなんだから)

死神「運命は変えられないわ。遅かれ早かれあなたの魂は私のモノになる。何をしても無駄よ。」ジジッ

男「...」

死神「それじゃあ男くん...また近いうちに会いましょう。」フワッ


715 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/05/04(木) 23:07:11.67 ID:cRUSjbX30
とりあえずここまで。
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/05(金) 02:14:56.36 ID:jHWsrixco
おっつです
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 20:54:09.52 ID:uFsJ1U0io
なんだか凄く……シリアスです
おつおつ〜
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 22:40:06.16 ID:KcA0dH9T0
おつですー
八咫烏には名前ないんですか?
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/27(土) 09:46:32.74 ID:EH+sYFy80
私怨
ようやく佳境に入るかな…?
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/31(水) 16:57:37.16 ID:pn1I1j+x0
はよはよ
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 16:19:58.29 ID:Vh2UzVbA0
722 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:48:31.73 ID:NTbOzcB20
幼「ん...あれ?ここは?私どうしたんでしたっけ?」

男「お、起きたか。具合はどうだ?」ガラガラ

幼「すこしボーっとしますが得には...」

男「熱中症でいきなり倒れたからな...少し心配したんだが、とりあえずは一安心だな」

幼「すみません...」

男「いいっていいって。さて、飲み物とタオルここに置いておくから。まだもう少し休んどけ」ナデナデ

幼「はい。ありがとうございます」ニコッ
723 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:49:07.44 ID:NTbOzcB20
男「...」スッ

いろは「あの子はどうだった?」

男「とりあえず大丈夫そうだな。熱中症ってことにしておいたし、問題はないだろう」

いろは「あいつも直接的な事は出来ないはずだから、おそらく気絶させただけね」

男「そうは言っても目が覚めるまでは心配だったぞ。ヒヤヒヤした」

いろは「でも身体は汗まみれでベトベトね」

男「冷や汗っつーのを知らんのか」
724 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:50:09.64 ID:NTbOzcB20
いろは「そういうこと言ってるんじゃ無いわよ。幼ちゃんをここまで背負ってきてお疲れさまって言ってるの」

男「少しは手伝ってくれても良かったんじゃないか?」

いろは「こっちがそう言ってるのにあんたが一切聞かなかったんでしょうが。外見では分からなかったけど相当テンパってたのね」

男「...ちょっと色々ありすぎたからな。今だって頭がもやもやする」

八咫烏「そういうときはお風呂に入ってリフレッシュッスよ」ガラガラ
725 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:50:51.08 ID:NTbOzcB20
男「八咫烏か、どこいってたの?」

八咫烏「男様が汗だくだったので風呂の準備をしてきたッス。いつでも入れるッスよ」

男「マジかよ...お前天使か」

いろは「どっちかって言ったら悪魔寄りじゃない?」

男「...おまえは何してんの?」

いろは「パピコ食ってるけど...半分食べる?」チュー

男「...後で食べるから冷蔵庫いれといっッ!?」

いろは「へ?どしたの?」

男「いや...安心したせいか、幼を背負ってた疲労が今になってきやがった」

八咫烏「...大丈夫ッスか?」

男「おう、心配ねーよ。ありがとな」ナデナデ

八咫烏「...」
726 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:51:19.45 ID:NTbOzcB20
ーー風呂場ーー

男「...ふぅ」バシャァァ

男「足が痛い...腕が重い...運動不足ってわけじゃ無いハズなんだがなぁ」コンコン

男「ん?」

八咫烏「失礼するッス」カラカラ

男「...ん?」

八咫烏「腕が大変そうだったのでお手伝いしにきたッス」

男「.......ん?」
727 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:51:58.58 ID:NTbOzcB20
男(いやいやまてまて。あまりの出来事にフリーズしちまったぞ)

男(なんでいきなり入ってきてんのコイツ。いや確かに身体が怠いから素直に助かりはするけども、するけども!)

八咫烏「?どうかしたッスか?」

男(どうかしてんのはタオル一枚で凸してきたお前の頭だよ。綺麗な肌してんなおい)

男「いや...おまえこそどうした?俺の中じゃ常識人枠でこういう突発的な事はしなさそうなイメージだったんだが」

八咫烏「んー...まぁそれはおいといて、とりあえず頭から洗ってくッスよ!」バシャァァ

男「うわっぷっ!おまっ!分かったから優しくして!!」
728 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:52:33.53 ID:NTbOzcB20
八咫烏「...」ゴシゴシ

男「...」

八咫烏「ねぇ男様」ゴシゴシ

男「...どうした?」

八咫烏「その...申し訳ないッス」ゴシゴシ

男「いや、いきなりで驚いたし今もテンパってるが、実際ありがたいから気にするな」

八咫烏「そのことじゃなくて...その...死神様のことッス」ゴシゴシ

男「...なんでお前が謝る?」

八咫烏「死神様はウチの上司ッスし...そもそもウチがこうして男様と接触してるのは死神様に命令されたからッス」

男「...」
729 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:53:08.56 ID:NTbOzcB20
八咫烏「もし今回のことでウチの事が信用できなくなったのなら...うちはここから出ていくッス...ウチが出ていくのが不安要素になるなら...九尾の狐に封印してもらうッス...」

頭を洗う手が少し震えているのが分かる。
今回の件で死神が本気で幼を殺そうとしているのが分かったし、
無事とはいえ気絶させるといった直接的な攻撃もしてきた。
そして八咫烏はそいつの命令でここへ来て俺に出会い、今こうしている。
恐らく死神に会って、自分は俺を[ピーーー]ために存在すると再認識してしまったのだろう。
ほんとにコイツは...

男「なぁ八咫烏よ...」

八咫烏「...はい」

男「シャンプーが目に入って痛いんだけど...」

八咫烏「あわわ!すみませんッス!!すぐ流すッス!」バッサァァ

男「うおっぷ...ふぅ、ありがとな」

八咫烏「いえ、目ぇ大丈夫ッスか?」

男「いや、そっちじゃなくて。今日守ってくれたでしょ?」

八咫烏「それは...その...」

男「だからありがとう」

八咫烏「...ッス」
730 : ◆6FKbqG4.1U :2017/06/20(火) 22:55:09.30 ID:NTbOzcB20
遅くなってすまお
乙ありがとね

>>718
名前ねー、なんかいいの考えてくれたらそれにするよ
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/30(金) 22:00:53.06 ID:RsmY8V3Uo
おつさまてす
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 18:17:42.59 ID:Wxiztjcpo
名前考えながら寝落ちして忘れてた
うい
いろは順でうゐ(い)のおくやま、奥山有為
有為 因縁によって起こる現象
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/07(金) 21:58:20.84 ID:WBXX5dAJ0
いい加減続き欲しいぞ...
734 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/07/10(月) 22:43:50.87 ID:OmEFD2pU0
ーー夕方ーー

カナカナカナカナ...

幼「完全復活です」フンスッ

男「そりゃよかった。夕飯どうする?」

幼「今日はお家に戻りますよ」

男「そっか、じゃあまた明日な」

幼「はい!」
735 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/07/10(月) 22:44:26.56 ID:OmEFD2pU0
いろは「幼ちゃんは帰ったの?」

男「おう。今日は幼母がいるみたいだな」

いろは「そ、麦茶飲む?」

男「サンキュー。あれ?八咫烏は?」

いろは「夕飯作ってるわよー。今日は冷しゃぶだって」

男「あいつ家事スキル高いよな」

いろは「なによ、あたしは低いって言いたいの?」

男「低いっつーかなんつーか、出来るのにやらないよな」

いろは「よく分かってるじゃない」

男「やれっつってんだよ。察しろ」
736 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/07/10(月) 22:45:00.09 ID:OmEFD2pU0
八咫烏「できたッスよー」ガラガラ

いろは「あー、お腹ぺこぺこ...今日は久しぶりに緊張したからなー」

男「そうだな...二人ともありがとな。助かった」

八咫烏「いえ、お礼なんてとんでもないッス」

男「人の礼くらいは素直に受け取っておけ」

八咫烏「...ッス」

いろは「ごまだれ取って」

男「自分で取れや」
737 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/07/10(月) 22:45:25.66 ID:OmEFD2pU0
男「おぉ...すげぇうまい」

八咫烏「お口に合って良かったッス」

いろは「はぁ...ビールが飲みたい」

男「...同感」

いろは「...」

男「...」

いろは「やりますか」

男「いいですねぇ...やりますか」

八咫烏「いや駄目ッスよ」
738 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/07/10(月) 22:46:30.35 ID:OmEFD2pU0
男「むぅ...八咫烏よ、いやはっちゃんよ、よく聞け」

八咫烏「最近その呼び方が浸透してきたッスね」

男「確かに今の俺の身体は高校生、だが中身は20越えた立派な成人だぞ?」

八咫烏「でも身体は未成年ッス。アウトッス」

いろは「プークスクス。お子ちゃまはだまって麦茶でも飲んでなさい。なんなら振って泡立ててあげましょうか?」

八咫烏「いろは先輩も駄目っすよ。下界での仕事中は酒類厳禁なんスから」

男「そうなの?」

八咫烏「昔ある神様が下界に降りたとき、お酒を飲み過ぎていい気分になったのか、人間に神の力を見せまくったんスよ。それでちょっとした問題になって、今では基本的に神や神獣は酒禁止なんス」
739 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/07/10(月) 22:47:00.64 ID:OmEFD2pU0
男「あー...なんとなく分かる。だから祭事では神様にお酒を献上するのか。力を見せてほしくて」

八咫烏「そうッスね。完全にその頃の名残ッス。だからいろは先輩も駄目です」

いろは「けっ!今時そんなルール馬鹿正直に守ってる奴なんていないわよ!」

男「神の遣いとは思えない発言だな...っつーかいろはって八咫烏の先輩なの?」

八咫烏「公務員課程の勉強してた時の先輩なんスよ。ほとんど絡みはなかったッスけど」

男「なんで天界ってそんな下界染みてんの...」

いろは「というか八咫烏ぅー。あんたも確か酒好きよね?実は我慢してるんじゃないのぉ?」

八咫烏「...なにが言いたいッスか?」

いろは「ここにおばーちゃんから飲んでいいって言われてる日本酒があるんだけどなぁ...まぁ八咫烏が飲まないって言うのならしょうがないかなぁ?」

八咫烏「...」ゴクリ

いろは「折角のお供え物みたいなものなのになー?おばーちゃんも悲しむだろうなー?」

八咫烏「....」
740 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/07/10(月) 22:48:36.01 ID:OmEFD2pU0
今日はここまで。
みんな夏バテに気を付けてね
しっかり水分(お酒)とるんだよ
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/10(月) 23:02:15.46 ID:bLkTLYpA0
浅漬けかぬか漬けも食わないと塩分足りないぞ
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 09:54:54.22 ID:9HFcxFxVO
酒の肴に漬け物はなかなかいいチョイスをしているな……
おつおつ!
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/15(土) 06:51:06.43 ID:ZgkmTxTkO
ハッちゃんかわいいよハッちゃん
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 01:10:57.22 ID:3I83iQhA0
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 01:45:55.46 ID:oyjZanPo0
半年ぶりに読みに来たけどやっぱ面白いな
俺的には書籍化されたら買うレベル
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/15(火) 19:09:10.66 ID:WpyURYtWo
[田島「チ○コ破裂するっ!」]
747 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/08/24(木) 01:37:48.70 ID:PMV/O6qKo
大変遅くなって申し訳ない
今週中には更新する
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 18:39:29.90 ID:Tha4z8va0
待ってる
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/24(木) 19:21:42.21 ID:zBlmYvGA0
4年後の8月はまもなく終わりそうだな
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/09(土) 16:11:18.51 ID:Nlhwy94hO
夏終わったな
751 : ◆c820aNQT76 [saga]:2017/09/11(月) 00:50:03.32 ID:2FVV71/I0
----

男「んで結局こうかよ」

八咫烏「うぅ...ぐすっ...」

いろは「あひゃひゃひゃひゃ」

男「...とりあえず飲み過ぎだお前ら。一回コップ置け」

いろは「えー?かんぱーい?」

男「ちげぇよ置けって言ってるんだよ」

いろは「かんぱーい!!」ガバッ

男「あぁもうめんどくせぇなコイツ!ほらお前ももう泣きやめ。っつーかなんで泣いてるの...」

八咫烏「う...こんな...こんな私に皆さん仲良くしてくれて...うぅ」グスッ

男「はいはい気持ちはよく分かったから、な?一回手に持ってる一升瓶を置こうな?」

八咫烏「男様も...グスッ...おばーちゃんも...ありがとうございますぅ!」グビグビグビ

男「飲むなボケェェ!!置けっつってんだろうがぁぁ!!」

いろは「えへへ〜、かんぱーい!」

男「ちょ、誰か助けて!ハイテンションとローテンションだからめんどくせぇなおい!」
752 : ◆c820aNQT76 [saga]:2017/09/11(月) 00:50:46.14 ID:2FVV71/I0
----

チュンチュン

男「ん...朝か...いつの間にか眠っちまったんだな」チラッ

いろは「すぅ...すぅ...」

男「おいいろは、起きろ。つーか酒臭ぇなおまえ...」

八咫烏「あ、おはようございます」ガラガラ

男「おはよ。あんだけ飲んでよくちゃんと起きれたな」

八咫烏「あはは...すみませんッス...」

男「まぁたまにだしいいか。ばーさんには俺から言っておく」

八咫烏「うぅ...ごめんなさいッス」
753 : ◆c820aNQT76 [saga]:2017/09/11(月) 00:51:12.00 ID:2FVV71/I0
男「二日酔いとかは平気なの?」

八咫烏「それは全然大丈夫ッス。頭もすっきりッスよ」

男「へぇ、やっぱ神様関係は酒に強いのかね」

いろは「うぅ...うぇ...気持ち悪いぃ...」

男「おう、起きたか」

いろは「おはよ...うぅ...頭痛いしお腹にウニが...」

男「お前は弱ぇのかよ」

八咫烏「おみそ汁出来てるッスよ」

いろは「あなたが神か」

男「それでいいのか使獣」

754 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/11(月) 00:53:15.57 ID:2FVV71/I0
少ないけど更新
めっちゃ久しぶりでごめん
あと酉間違えた、めんご
755 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/12(火) 23:55:22.75 ID:LUlwFzP60
二日酔いでダウンしているいろはにみそ汁を飲ませ介抱していると、ばーちゃんが帰ってきた。

ばば「ただいm...酒くさっ」

男「おかえ...うわ酒くさっ。帰ってこないと思ってたら夜通し酒飲んでたのかよ...」

ばば「いろはちゃん達が居なくなったあと寄り合いがあってねぇ。それでお前達に話があるんだ」

八咫烏「?ウチらもっすか?」

ばば「もちろん。というかはっちゃんは絶対必要かねぇ。いろはちゃんの機動力も欲しい」

いろは「?」

八咫烏「?」

男「?」
756 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/12(火) 23:55:56.04 ID:LUlwFzP60

午後にメンバーを集めてから説明すると言うことになり、朝はそのまま解散した。
八咫烏はばーちゃんの手伝いをしてるし、いろははダウンしている。

酒についてだが得にばーちゃんから怒られるとかはなかった。まぁお互い飲んでたみたいだしな。
俺はというもの、ばーちゃんに山の準備をするように言われ、倉庫から引っぱり出している。

男「あれぇ?スパイク長靴どこやったっけ?」

いろは「何してんの?」

男「いろはか。なんか山の準備しとけって言われてな」

いろは「へぇ?前に林業手伝ったときの靴じゃ駄目なの?」

男「駄目ってことないが、あれは唯の作業靴だしな。詳しくはまだ分かんないけど本気装備にしろって言われたから...お、あった」
757 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/12(火) 23:56:27.58 ID:LUlwFzP60
いろは「本気装備なのに長靴?」

男「ばっかお前。山で最強の靴はこのスパイク長靴だぞ。どんな僻地でも対応出来るし水の中、雪の中でもバリバリだぞ」

いろは「そ、そうなのね」

男「男も女も山で働く奴はみんなコレだ」

いろは「男はともかく女の子もこれなの?流石に嘘でしょ」

「男くーん」

男「あれ?幼?どうしたの?」フリカエリ

幼「お母さんに先に行ってなさいって言われました」←スパイク長靴・作業用ズボン・Tシャツ

いろは「...」

男「...」

いろは(...ちょっと似合ってるって思っちゃったわ)

男(せやろ?)
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 21:16:34.76 ID:hti5qtz30
もう4年後の8月は終わったんだよな
あと6年か
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/19(火) 22:38:04.40 ID:PvE0nMeO0
後6年後に終わられるとそれはそれで待つのが辛い
760 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:07:56.94 ID:1dhDRlGs0
男「それで、フル装備のこのメンツが集まったわけだが」

居間の中には山仕事装備の幼母、幼、師範、友、幼友、鉄砲屋、ばーちゃん、
そして俺といろは、はっちゃんが集まっている。
ちなみにばーちゃんの希望でチーム使獣は獣の姿になっている。

男「つーかお前らも呼ばれたのな」

友「あぁ。なんか師範に人手がいるから手伝ってくれって言われて」

幼友「でもあたし達も何やるかは聞かされてないわよー?」

男「なんでこの人達は説明が足らないんだ...そういうとこあるよな」

幼「畑仕事ってわけじゃなさそうですし...やっぱり山に入るんですかね?」

男「まぁそれは確実だろう...」
761 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:09:27.98 ID:1dhDRlGs0
訝しげな目をばーちゃんに向けると、コホンと咳払いを一つされた。

ばば「それじゃあ集まったみたいだから始めさせてもらうねぃ」

そう言うとばーちゃんはおもむろに大きな紙を取り出した。
紙を覗いてみると、そこには見慣れた周辺の山々が、等高線となって表されている。国土地理院の地図だ。

男「これは...村境の山だな。この辺に師範の管理してる林ってありましたっけ?」

師範「んー?ここらは県の保有林だからなぁ。俺はほとんど関係ないぞ」

ばば「そういうことだぃ。更に言えばここは鳥獣保護区でもある」
762 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:12:31.45 ID:1dhDRlGs0
男「何?管理捕獲でもすんの?あー...これだと有害捕獲か」

鉄砲屋「流石男君、おばぁ様のお孫さんですな。一応今回は有害捕獲の括りになります」

男「それはいいんですけど...で対象は?シカ?イノシシ?」

幼母「...捕獲対象は農業被害もそうだが...地元商店街からの苦情が多くてな。このところ商品被害や人への直接被害が急増してると」

男「いやもったいぶらずにさっさと言ってくれよ...ここまで言われたら流石に分かるけど」


ばば「ご想像の通り、対象は...“サル”だよ」
763 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:13:26.38 ID:1dhDRlGs0
ばば「農業被害、直接被害防止のために、3つあるこの辺りの群の一つを根絶することになった」

男「うへぇ...ってことは俺達は勢子やれって事?」

ばば「勢子というよりはサポートになるねぇ。それぞれ3チームに分かれて作業してもらう」

ばーちゃんはペンを持つと、地図に矢印を書き始める。

ばば「まず山と民家の境目になるこのライン。ここは幼母と幼友が車で移動。追い払いをしつつサルが民家に下らないようにしてくれ」

幼母「了解」

幼友「がんばります!」
764 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:15:23.71 ID:1dhDRlGs0
ばば「次に山の中腹をトラバースしてもらうのが師範と友のチーム。途中斜面が急になるからそこだけ気を付けて」

師範「了解。がんばろうぜぇ友ぉ!」

友「あはは...」

ばば「この中腹組のゴールには私が射手として待機してるから。その補佐を幼ちゃんにお願いしてもいいかい?」

幼「もちろんです」フンス

師範「じゃあ最後の尾根越えたら撃たん方がいいね。声出してるからだいじょうぶだとは思うけど誤射だけはかんべんな!」
765 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:16:09.90 ID:1dhDRlGs0
ばば「そこは一番気を付けるよ。んで最後に尾根を歩くのが男と鉄砲屋。最終ピークまでがっつり歩いてくれぃ」

男「やっぱ一番辛いやん...」

鉄砲屋「がんばりましょうね男君」キラキラ

男「う...はい」

鉄砲屋か...ばーちゃんの贔屓にしてる鉄砲屋さんの店主で、俺が小さい頃から良くしてくれてるし、すごいいい人なんだけど...
この人と山歩くのは嫌なんだよなぁ...
766 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:16:43.49 ID:1dhDRlGs0
いろは(ちょっとちょっと男!)

男(なんだよいろは。俺はこれから起こるであろう地獄に打ちひしがれてるんだから)

八咫烏(うちらはどうすればいいッスか?)

そういえばこいつらも居てくれた方が助かると言っていたが、どうするんだろう。

男「ばーちゃん?いろはとはっちゃんはどうするの?」

ばば「おっと、そうっだたねぇ。いろはちゃんは男のサポート。はっちゃんには観測機として動いてもらいたいんだぃ」
767 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:17:41.81 ID:1dhDRlGs0
男「いろはは分かったけど...観測機って?」

ばば「上からサルの群を追い続けてほしいんさ。そうすりゃはっちゃんの位置でサルがどこにいるか分かる」

男「なるほどねぇ...なんかドローンみたいな使い方だが、できそうか?」

八咫烏(やってみるッス!)コクコク

幼母「おぉ...頷いてる」

鉄砲屋「随分と賢い烏ですねぇ。足も三本あるみたいですし...まるで八咫烏ですね」

男「...たまたまですよ。そういう奇形なんじゃないですかね」

鉄砲屋「そうですか」ニコ

師範「がはは!男の周りにはおもしろい動物が集まるなぁ!」

ばば「じゃ、説明も終わったし出発するかねぇ」
768 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/23(土) 23:20:07.32 ID:1dhDRlGs0
今日はここまで

>>758-759
あと6年間じっくり楽しんでくれ
769 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 15:58:01.12 ID:+etdeAiV0
ばば「全員無線もったかぃ?確認するよ」

出発前に全員で無線チェックを行う。業務無線を使うので、アマチュア無線の免許を持っていない俺達でも堂々と使える。

男『あーあー、男です』

師範「じゃあ準備が出来た班からいくべ!」

幼母「スタート地点まで車で行けるから送ってくよ」

ばば「じゃあ幼ちゃんも行こうか。軽トラだけど我慢してくれぃ」

幼「大丈夫ですよ♪じゃあ男君、行って来ます」ビシッ

男「おう、無理してケガだけしないようにな」ナデナデ

幼「それはお互い様ですよ。気を付けて下さいね」

男「おう」
770 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 15:58:44.99 ID:+etdeAiV0
幼友「男は慣れてるからいいけど...友、気を付けてね。あんたあんまり山得意じゃないんだから」

友「失敬な。これでも人並み以上には歩けるぞ」

幼友「ペアが師範だから心配なのよ...無茶しないでね?」

友「お、おう...それは俺じゃなく師範に言ってくれ...切実に」

鉄砲屋「烏にGPS付けておきました。男君に位置情報の管理をお願いしたいのですがよろしいですか?」

男「はい、問題ないと思われます」

鉄砲屋「電波法の範囲内での出力になりますので、安心して使って下さい」

山で狩猟を行う際、猟犬の位置を知るためにGPSを付けることが多い。しかしこれらの大抵は法律に違反している物が少なくない。
鉄砲を扱うハンターは、本来であれば法律を遵守し、安全を第一に考えた作業をしなければならない。
趣味での狩猟であれば目をつぶれるものも多いかもしれないが、その低い意識を管理捕獲や有害駆除に持ってきてはいけない。
771 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 15:59:34.82 ID:+etdeAiV0
無線チェック、GPSの動作確認も行い、いよいよ車に乗り込む。
もちろん車は大人数が乗れる、ワークホース(働く車)のハイエースだ。
決してダンケダンケする用法など存在しない。

男「あれだな、すげぇ似合うな」

幼母「それ褒めてないだろこら」

ハンドルを握る幼母を見る。作業着に身を包み、肩に無線を付けた幼母は、もうその手の職種の方にしか見えない。

幼母「少し道悪いけど我慢してくれ。シートベルトも忘れずに」

友「すいませーん。後部座席にシートベルトが無いんですがー」

幼母「気合いで何とかしろ」

友「んな無茶な!?」
772 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 17:37:37.31 ID:+etdeAiV0
幼母「おし、尾根到着だ」ギィ

男「じゃあ降りるわ、ありがと」

幼母「おう。気を付けるんだぞ。鉄砲屋もあんま無茶すんなよ」

鉄砲屋「勿論ですとも。また下で会いましょう」

幼友「男、頑張ってね」

男「あいよー」

幼母「うちらが戻って開始だから...20分後スタートで」

男「了解。幼母が勢子長でいいの?」

幼母「そうなるな。一応着いたら無線いれる。届かなくても20分後には歩き始めちゃってくれ」

鉄砲屋「承知いたしました」

幼母「じゃ、またな」ブロロ...
773 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 17:38:31.26 ID:+etdeAiV0
鉄砲屋「さて、銃を包みから出しますかね」スルスル

男「今日はライフルじゃないんですね」

鉄砲屋「対象がサルですしね。RemingtonのM1100ですよ」

男「世界で一番売れてるセミオートの銃ですか」

鉄砲屋「よく知っていますね。これはベストセラーも頷けるいい銃ですよ」

男「上下は使わないんですか?」

鉄砲屋「私が持っている上下は射撃用なんですよ。この子が壊れたら一時的に山でも使いますが」

男「やっぱり自動銃の方が山ではいいんですかね」

鉄砲屋「そんなことは全くないですよ。物にもよりますが自動銃でも上下でも問題なく使えます。ただなんでしょうか、やはり物の価値というものがあるわけで、場面に応じて使い分けるのですよ。極端な話、スーツで山は登らないでしょう?でも登れないことは全然ないわけです」

男「あー、何となくわかりますね」
774 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 17:39:51.03 ID:+etdeAiV0
鉄砲屋「もちろん銃によって差異はありますよ。同じ上下でもトラップ用とスキート用じゃ撃ち方が変わってきますし、やはりスキートの方が山でも向いてるでしょう。後は水平二連なんてのは銃口よりリブが低いので狙いがかなり難しいですし、レピーターはあまりおすすめできませんしね」

男「レピーター?なんですかそれ?」

鉄砲屋「所謂ポンプアクションの鉄砲ですよ。若い人なんてのは見た目がかっこいいんで結構レピーターを選ぶ人が多いですね」

男「あー、映画とかでよく見ます。レピーターって言うんですか」

鉄砲屋「これはそもそもベトナム戦争で多用されていて、密林から急に出てきた敵を腰で撃つ想定がされています。だから現代では狭い船内制圧用に海兵隊なんかが所持していると聞きますね」

鉄砲屋「しかし日本の山岳地帯における狩猟において、このような状況はまずありません。そして猟で必要なのはキチンと狙って当てるということになりますので、狙うという動作に重点を置いていないレピーターはハッキリ言って不向きです。更に言えば装填動作として先台を前後に動かさなければならないので、どうしても狙いが大きくぶれてしまいます」

男「でもそれって一発目でキチンと当てればいいんじゃないですか?」

鉄砲屋「勿論その通りです。ですが実際一発目で外してしまったら、群で来た場合にはと考えると、狙いがぶれるのは大きなデメリットになります」

男「確かにそうですね...」
775 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 17:41:56.23 ID:+etdeAiV0

鉄砲屋「ですが先程男君が言ったことは大正解ですよ。一発目でキチンと狙って当てる。これが何より大事です。そのためにはやはり練習が一番でしょう。よく自動銃は動作不良を起こすからレピーターの方がいいなんて言う人がいますが、動作不良を起こす原因はキチンと肩付けが出来ていなくて、衝撃を受け止められていないからです。動作不良を起こすような射撃姿勢をとっている人がレピーターを持ったから命中するか?となってもそんなことはないんです。だからこそ銃を身体に慣れさせる、正しい動作を覚えさせる意味でも練習は大事なのです」

男「へー、じゃあ道具が悪いってだけじゃないんですね」

鉄砲屋「勿論です。道具にはそれぞれの使い方があります。レピーターもその長所が生かされる場所であれば、自動銃なんて目じゃない程の成果をみせてくれるはずです。そしてその銃でキチンと練習することですね。よく猟をやる方で射撃と猟は全然違うから練習しても意味がないと言う方が多いですが、そんなことは一切ありません。勿論練習方法にもよりますが、スキート射撃でキチンと練習していれば、獲物を発見して、挙銃し、正しく狙い、引き金を引くという一連動作が出来るようになります。これがなにより猟では大事です」

鉄砲屋「まぁ趣味における狩猟であれば、本人さえ楽しめれば良いわけですから当たろうが外れようがいいのかもしれません。ですがそういう人に限って事故を起こすものです。そして今回のサル駆除もそうですが、我々は依頼を受けて獲物を捕るわけです。ですので責任を持ってキチンと捕る必要があります。外れたらしょうがないでは駄目です。人の為にも、なにより動物のためにもキチンと我々が管理をしなければならないのです」
776 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 17:42:29.26 ID:+etdeAiV0
趣味で行われる狩猟。そして仕事として行われる管理捕獲。そこには根本的な違いがあり、決して混同してはならない。
捕る必要があるから捕る、殺す。殺すことに意味がある。そこには当然責任が伴う。
命を扱うからこそ、その意識を忘れてはいけない。

殺すために命と向き合う仕事.......

幼母『こちら勢子長。配置に付いた。これよりスタートします』

鉄砲屋「無線入るみたいですね、それでは行きますか」

男「はい!」



鉄砲屋『こちら鉄砲屋了解』

男『男了解』
777 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/09/24(日) 17:42:57.76 ID:+etdeAiV0
今日はここまで
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/25(月) 15:32:35.46 ID:eCB3RYkA0
更新頻度が上がっただと…
これが続けばなぁ
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 21:17:46.88 ID:1oTik1KCo
>>1の仕事は結構忙しい部類の仕事なので大変なのです
果報は寝て待てなのですよ
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/03(火) 22:49:56.50 ID:eXcBlk02o

更新頻度が上がった思ったらそんなことは無かった
もっと頑張ってもいいのよ?
781 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2017/11/08(水) 22:31:35.09 ID:A+Bd+wpB0
鉄砲屋「だいぶ跡が濃いですね」スタスタ

男「そうですね...」ハァ...ハァ...

歩き始めてからまだ10分程だが、既に呼吸は乱れている。
尾根伝いを歩くルートなので、巻いたり近道が出来ない。
ひたすら登り続けるルートなのだ。

いろは(ちょっと、大丈夫?)

男(全く大丈夫じゃねぇ。ここは斜度もキツイしな。お前は平気なのか?)

いろは(あたしは四つ足だし荷物も持ってないからね)

男(そか...やべ、気ぃ抜くとすぐ離れそうになっちまう)

いろは(あのおっさんすごいわね...歩くスピードも速いし、なにより登りでも一切速度が落ちない)

男(あの人は俺のこともよく知ってるからな。こっちの気配りも一切しないでどんどん登ってるのはそのせいだろ)

いろは(信頼されてるのね)

男(こんな信頼いらなかった)
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