幼馴染「10年後の8月に・・・」

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512 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/04/19(火) 01:53:33.31 ID:OkBPirnzo
いろは「お待たせ」

男「なんやかんや3分以内じゃんってお前、それ俺のジャージじゃん」

いろは「仕方ないでしょ。あたしの着替えはバカから貰った水着の式紙しかないんだから」

男「今さらだけどずっと巫女服で暑くないのか?」

いろは「あの巫女服は神具と同じだから、着ている部分は暑くも寒くもないわ。汚れもしないし」

男「ほー、便利なもんだ」

いろは「でもこっちの方が何となく楽ね」

男「そりゃジャージにTシャツだからな」

いろは「んじゃとっとと行きましょ。お腹空いたし」

男「一応肩か横っ腹掴んどけな。無駄に多い尻尾巻き込むなよ。行くぞー」ガチャ ブロロロロ...
513 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/04/19(火) 01:54:44.73 ID:OkBPirnzo
男「ただいまー。ほいラー油」

ババ「おかえり。ありがと、もう準備できてるよ」

男「じゃあ早速食べるか」

「「いただきまーす」」

いろは「あ、あたしの方が一個餃子多い。やったね♪」

男「よっぽど食い意地張ってるようにみえたんだろ。ばーちゃんラー油取って」

ババ「はいよ。ついでにあたしのにも入れといて」

いろは「あーあたしのにもー」

男「へいへい。...あれ、出ない」

いろは「はぁ?ちょっと貸してみなさい。これはここのボタン押さないと出ないのよ」プニッ

男「だから押してんだけど出ないんだって」

いろは「あれ?くそっ、なんでっ、出ないのよっ」プニップニップニッ

男「新品だから詰まってんのか?振ってみれば?」

ババ「二人とも麦茶持ってきたよ...何しとる?」

男「いやいくら押してもラー油がでねーのよ」

ババ「中蓋取った?」

「「あ......」」

夕焼けに染まる山々を、ハシボソガラスの鳴き声が包み込む。


あまりにもありふれた光景すぎて
あまりにも普通に馴染みすぎて

俺達は重大な事を見落としていた。


いろは「白米おかわり!」

ババ「はいはい。いっぱいあるからね」ニコニコ

男「太るぞ」

いろは「るっさい」
514 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/04/19(火) 01:57:19.43 ID:OkBPirnzo
>>504
イシガメ進行だけどゆっくりしていってね
>>505
もうそんな経つのか...
今年の夏には終わらせたい
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/19(火) 17:51:04.28 ID:oPklGBSr0
なんか普通にいろはと祖母会話してね?
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/19(火) 23:36:55.17 ID:y7DsyeNQ0
それこそが重大なことなのだろう
多分
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/11(水) 03:46:00.62 ID:OpbNAv9Z0
支援 期待
ずっと待ってるぜ
続きが気になる
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/13(金) 02:20:51.93 ID:/NBEzQwYO
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [Saga]:2016/05/15(日) 18:37:09.04 ID:eH4uNElyO
いろはが普通に会話してるように見えるけど
気のせい?
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/20(金) 14:28:34.99 ID:ixEh2eZr0
乙乙。頑張って完結させてな
521 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/22(日) 23:52:11.89 ID:f5H51s7eo
男「〜」カチャカチャ

いろは「男ー…あれ?何してんの?」

男「この前カブのフロントフォークがオイル漏れしてんの見付けたから直してんの」

いろは「へー、自分で直せるもんなのね」

男「店に頼むと結構高いからな。まぁ構造も単純だしガキの頃から弄ってたし...よし、シールも付け替えたしオイルも入れた。後は取り付けだけだ」

いろは「もう終わりそう?おばーちゃんがそろそろ昼飯だから呼んでこいってさー」

男「あー分かった。片付けたらすぐ行くって言っておいて」

いろは「はーい」スタスタ

男「〜」カチャカチャ

男「...ん?呼んでこいって言われた...?」
522 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/22(日) 23:52:39.87 ID:f5H51s7eo
男「...」ガラガラ

ババ「お?ちょうど終わったか。とっとと座りな」

いろは「今日はラーメンだって!ちょー美味しそう!」

ババ「いろはちゃん、悪いんだけどお水持ってきてもらっていいかい?」

いろは「はいはーい」パタパタ

男「...おかしくね?」
523 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/22(日) 23:53:14.25 ID:f5H51s7eo
明日絶対続き書くから許して
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/23(月) 00:17:05.25 ID:71UqCHHy0
やったぜ。
525 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/25(水) 00:18:36.13 ID:v/GNnzVj0
男(いやいやおかしいでしょ。何で見えてんの?え?てか見えてんの?)

いや、おかしいと思う場面はいくつかあった。キツネが居間で寝てんのに食わずに放置したり、
最近にいたっては食器類が3つ揃ってたり....いや気付けよ俺、気付かれてんの。

男(こういうとき肝心のいろはは...)チラッ

いろは「...」ジーーー

男(夏休みになると何故かやってる学校の階段シリーズに夢中っと...)

こういうときどうすりゃいいんだ?
っつーかこれ大丈夫なん?バレたりするとまずいんじゃ...

ーーーーー

狐娘「ただあまりにもとの運命から遺脱した行為をすると流石にばれるわよ」

男「...バレるとどうなる?」

狐娘「全事象の運命が貴方を殺しにかかる。勿論幼馴染もね」

ーーーーー

男(死んじゃう!?俺もしかしてピンチ!?)




???「せいかーい」
526 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/25(水) 00:19:24.35 ID:v/GNnzVj0
男「!?」ゾクッ!!

...なんだ今のは
ここにいたらまずい気がする。
逃げないと。

男「」ガタッ

いろは「へ?」

ババ「...」

幸い縁側が開いてる、そこから外へ逃げ出せば...

ガラッ

男「あ?」
527 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/25(水) 00:19:56.33 ID:v/GNnzVj0
時間が止まったようにハッキリと見えた。
視界に入ったのは落ちてくる降り鬼瓦と...カラス?

っていうか瓦直撃コースだな。
あーマジか、体が動かねぇ。...死んだな。




ババ「はい」カチャ

バァンッ! パリンッ!

いろは「きゃ!?」

男「うおっと!?」

頭上にあった瓦が粉々になる。
12番スラッグ弾を発射した上下二連式散弾銃の照星が、次の獲物を狙う。

バァンッ!
528 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/25(水) 00:20:35.77 ID:v/GNnzVj0
ババ「チッ...あのカラス避けたんか」

いろは「なに!?何事!?」

いろはの存在がバレた事がバレ、死にかけた俺だが。

ババ「流石にもう届かない...ライフル準備しとけばよかったねぇ」

なんて事はない。そんな運命すら簡単にぶち壊す人が仲間になっただけだった。

ババ「男、大丈夫だったかい?」カッチャン カランカラン... 
529 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:49:50.68 ID:1sEmDhPO0
いろは「え...あたしのこと見えてるの?」

男「見えてるし普通に会話してたじゃねぇか...気付よ」

いろは「う、うっさいわね。でもそういえば最近私のお椀も準備されてたし...」

男「んで、ばーちゃんはいつからいろはに気付いてたわけ?」

ババ「来た初日から分かってたよ。じゃなきゃ家にキツネなんていたらすぐ食っちまうよ」

男「確かに...」

いろは「知らないうちに生命の危機が救われてたのね...」

男「んでもなんで気付かないふりなんてしてたわけさ」

ババ「そうだねぇ。なんか二人とも必死になって隠してたし、わるいかなぁって」

いろは「気を使われていた!?」

ババ「んでそろそろ気付かないふりすんのも面倒くさくなってきたってことよ」

男「要するに飽きたのね...」
530 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:50:30.31 ID:1sEmDhPO0
男「でもいいのかよ?こんな正体不明の巫女服着たイタイ奴家においといて」

いろは「よろしい、ならばクリークだ。その間抜けな顔にAcht-Achtぶち込んでやるから表に出なさい」

男「お前...ぶち込むとかドスケベすぎるだろ...このエロギツネめ!!」

いろは「ぶっ飛ばすわよあんた!?なんであたしが罵られてんのよ!!」

ババ「まぁこんな感じで害もなさそうだし、二人の会話は見てておもしろいからねぇ。それにこのあたりで九尾のキツネって言うと村の神様だから、追い出すなんて滅相もないんだよ」

ババ「深くは聞かないけどあんた、その子に守られてるんでしょ?」

男「...」
531 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:51:08.47 ID:1sEmDhPO0
ババ「あいさつが遅くなってごめんねいろはちゃん。この子の事、どうか見守ってやってください」

いろは「...はい、頼まれました!」

ババ「何もない田舎の民家だけど、おいしいごはんくらいは出してあげれるから。自分の家だと思ってのんびりしてね」

いろは「ありがとうおばあちゃん!」ダキッ

男「そんなん言わなくてもコイツは無遠慮にだらけまくってるぞ」

いろは「しゃらっぷ。そういえばあたしは神様の使獣なのよ?もっと崇め奉りなさい!」

男「なにどこぞの駄女神みたいなこと言ってんだよ...ってかそういえばってお前も忘れてたのかよ」
532 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:51:53.40 ID:1sEmDhPO0
ババ「あ、そうだ男。さっき撃った弾代請求しとくからね。スラッグ弾」

男「くそぉ...よりによって高い方を...」

ババ「銅弾だからよろしくね」

男「マナーいいなぁおい、もっと高くなったじゃねぇか...いや、民家でぶっ放してる時点でマナーどころじゃなく捕まるんだけどさ」

ババ「それで助かったんだからよかったでしょ?」

男「まぁ感謝してるけどさ」

いろは「すらっぐ?」

男「スラッグ弾っちゅーのは散弾の口径で撃てる一粒弾のこと。鹿とかイノシシの大物猟で使われる。外見は普通の散弾だけど、中に親指くらいのでかい弾が入ってる」

いろは「へぇ、じゃあ銅ってのはその弾が銅で出来てるってこと?」

ババ「一般的には鉛なんだけどね、最近鉛弾のせいで鉛中毒おこす鳥が増えてるからなるべく銅性のつっかてるんさ」

男「ただ国内で流通してないからやたらと高いんだよ...」
533 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:52:25.38 ID:1sEmDhPO0
いろは「あぁそういうことね。命に比べたら安いじゃない」

男「」プチッ

いろは「な、なに」ガシッ

男「大体ああいうのはおめぇが予測しなきゃいけねぇんだろがぁ!飯に夢中になりやがって!俺が死んだらどないするつもりじゃったんだぁ!!」グリグリグリグリ

いろは「あぁぁぁぁいたいいたいいたいぃ頭ぐりぐりやめて!!えぐれる!!しぬ!!」

ババ「まぁまぁその辺にしときんさい。そもそも自分の身は自分で守れと教えたはずだよ」ジロリ

男「うっ...ウィッス」

いろは「いてて...死ぬかと思った。でもおかしいなぁ、さっきまで男の色は全く変わってなかったけど...」

ババ「...カラスがいた」
534 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:53:09.30 ID:1sEmDhPO0
いろは「え?」

男「あ、俺も瓦が落ちてくるときカラス見たわ」

カラスという単語を口にした瞬間、いろはの目つきが変わった。
顎に手をやり、何かを考え始める。

いろは「カラス...ね。なるほどなるほど」

男「なんか関係あんのか?」

いろは「今のところなんとも言えないわ...ただまぁ少し心当たりがあるから調べておくわね」

男「お、おう...」

こいつのこんな真剣な顔はじめて見たかも。
535 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:53:41.01 ID:1sEmDhPO0
幼母「おい銃声聞こえたけどどうした?」ヒョイ

幼「男君大丈夫ですかー?生きてますかー?」ヒョコ

男「君たち塀を乗り越えてくんのやめようか。玄関から入ってきなさい」

ババ「二人ともいらっしゃい。心配いらないよ、ただの暴発」

幼母「いやただの暴発も心配なんだが」

幼「あぁ!らーめんだ!おいしそう!!」

男「忘れてた。とっとと食わないとのびちまう」

ババ「二人とももう飯食べたかい?」

幼母・幼「「食べたけどラーメンは別腹です」」

ババ「じゃあすぐゆでてくるからちょっと待ってな」

幼「はーい♪」

幼母「悪いなばーさん」
536 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:54:18.90 ID:1sEmDhPO0
午後一の蝉の鳴き声は力強く、先ほどの銃声などもうかき消してしまったようだ。
あっさりと迎えた最大の危機も、我が家のLethal Weaponによって事なきを得ることができた。
今俺がこうしてラーメンの湯気を眺めることが出来るのも、運命のいたずらに文字通り撃ち勝ったおかげである。

これから先、目の前でウキウキとラーメンを待っている女の子に先程のような危機が必ずきてしまう。
そのとき俺はどうすればいいのだろう、どうするのが正解なのだろう。

何ができて何ができないかまだ分からないけど。
今は二人のラーメンが出来上がるまで待つことにしよう。


いろは「ハフハフ...ずるるるるるる」

男(そこはみんなが揃うまで待ってろよ!?)

いろは「え?だってのびちゃうし」フーフー

男(いやそうだけど...お前...はぁ)

とりあえず今日は色々あって疲れた。
ラーメン食ったら風呂入って寝る。
537 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/05/31(火) 22:55:01.83 ID:1sEmDhPO0
今日はここまで。
またいつの日か。
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 23:53:34.60 ID:jlF3EpqG0
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 23:37:19.41 ID:XLlC9qEvo
続きまだかー?
待ってるけど、もう夏来ちまうぞ
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/28(火) 09:36:34.07 ID:MZt70ny20
忙しいのか、それとも諦めてしまったのか、めんどくさいのか
どれにしても自分を含めて待ってる人がいるから早く続きが読みたい
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/01(金) 00:59:30.05 ID:+NAzHagT0
超支援
542 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/02(土) 22:45:12.95 ID:PSRKQ2Woo
夏になったねぇ...
すまん、もうちょい待って
一週間以内に書くから
543 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 01:08:45.55 ID:+ZYSasqPO
蒸し暑い真っ昼間の縁側で寝そべりながら本を読む。
これが10年経つとクーラーガン効きの部屋でスマホばっか弄るようになるわけだ。

よくよく考えたらめっちゃ不健康な生活してたな俺。
社会人になるとどうしても単調な生活リズムになってしまう。
結婚して子供でもいればまた別だったんだろうが...

男「結婚ねぇ...」

一区切りついた読書を止め、屋根の先に見える大空を仰ぐ。
この前落ちてきた瓦はすぐに師範を呼んで直して貰った。ちなみにいろははその事で上に報告することがあると言って今日は不在だ。
んで瓦の修理だったんだが...修理自体はすぐ終わった、だがそのまま幼親子と師範とばーちゃんとで一杯やることになり...

ねぇなんで君達は一杯って言ってんのにいっぱいやっちゃうの?
幼は一回ビール置け、未成nうわ何をするやめr
544 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 01:09:14.52 ID:+ZYSasqPO
男「あー...未成年だと何かと面倒だなぁ」

ビールも飲めなきゃ辛口日本酒も芋焼酎も飲めない。
...ホントに呑んでないよ?ホントホントウソツカナイ。

そういえばタバコも吸ってねぇ...まぁどのみち村のタバコ屋にアークロイヤル売ってるとは思えねぇしな。

男「今は麦茶で我慢するか...」


読書中ずっと側にいてくれた麦茶のコップを持ち上げると、結露した水で床に水溜まりができていた。

もう氷もほとんど溶けてしまったが、暑さでやられた喉を潤すには十分すぎる。
545 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 01:09:40.98 ID:+ZYSasqPO
幼「男くーん!」

男「おう。とりあえず塀乗り越えて来んならスカートはやめなさい」

幼「...?」

男「いや、何言ってんだコイツみたいな顔されても」

幼「見たいならいつでも見せてあげますよ?」

男「悪いな、パンツは故意に見せられた瞬間パンツではなくなるんだおいおいスカートあげんなやめろしまいなさい」

幼「えー?パンツじゃなくなるんじゃないですか?」

男「んな分けあるか。まごうことなきパンツだったわ」

幼「...かぶる?」

男「かぶんねーよ!!」
546 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 01:10:14.56 ID:+ZYSasqPO
幼「あれ?おばあちゃんがいませんね?あといろはちゃんも」

男「ばーちゃんは鳥獣被害対策の許可捕獲で山行ってるからいないぞ。いろはは山ん中だ」

幼「そうだったんですか〜。そういえばお昼はもう食べましたか?」

男「いや、食べて無いけど...なに?作ってくれんの?」

幼「お腹すいちゃったなー」

男「...」

幼「...お腹すいちゃったなー」

男「分かったよ!作ればいいんでしょ!?」

幼ヽ(*´∀`)ノ
547 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 01:10:44.42 ID:+ZYSasqPO
男「ほい、お待たせ」

幼「おー!美味しそう!なんですかこの茶色い丼ものは?」

男「ごはんの上に目玉焼き乗っけて豚肉と玉ねぎを炒めたやつ乗せてお好み焼きソースとマヨネーズをガッツリかけた肉ソース丼だ」

幼「おぉ...なんという高カロリーでしょうか」イタダキマース

男「前何かのテレビで見て一度作って見たかったんだ」イタダキマース
548 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 01:13:17.78 ID:+ZYSasqPO
今日はここまで
リハビリがてらだから地の文多め

>>539
>>540
まさかまだ見てる人がいるとは思わんかって
遅くなってすまん。
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/06(水) 02:47:52.10 ID:EHqWtpRBo
乙。
アークロイヤルとはまた、洒落たものを。
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/06(水) 14:36:14.42 ID:OmeJjmzAO
俺「10年後の8月に完結か・・・」
551 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 19:02:24.52 ID:3rvyjlNTO
男「そういえば今日は何用?どっか行く?」

幼「そうでした!お母さんからホタルがいっぱい見れる場所を教えて貰ったので、そこへ行こうかと」

男「ホタルかぁ...この時期だとヘイケボタルが若干残ってる程度だと思うけど、そんなすごいの?」

幼「行ったことが無いので分かりませんが...これが場所です」ペラッ

男「どれどれ...」

差し出された紙には手描きで地図がかかれていた。
おいおい、何で等高線までしっかり書かれてんだよ、
国土地理院かっつーの。
552 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 19:03:10.76 ID:3rvyjlNTO
男「っていうかここあそこじゃん。前に幼と遊び行ってゲンゴロウ捕った池」

幼「えーっと?あの人工池ですか?」

男「あーそっちじゃない。そっちにゃ成虫がいたけどこっちでは幼虫しか見てない」

幼「じゃあ投網投げたらぶりーぎるがいっぱい入ってた池ですか?」

男「ブルーギルな。そっちでも無くて...ほら、キンブナとギンブナいたじゃん?」

幼「分かりました!あのチョウトンボが飛んでたとこですね!畑に囲まれてる」

男「もっと山ん中だ。鹿防止金網開けて入るとこ」

幼「去年男君が落ちたとこですか?」

男「え?俺落ちてたの?」

幼「オニヤンマ追っかけて一緒にドボーンしたじゃないですか〜」

男「あー、そんなこともあったようななかったような...」
553 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 19:03:38.89 ID:3rvyjlNTO
幼「出発は夜ですか?」

男「いや、夕方のうちに出発して日の入り前に到着位がベストだろ。あんま遅くなってもホタル光んねーし」

幼「そうなんですか?」

男「日暮れ直後位が一番光ってるぞ。だから飯は帰ってからだな」

幼「はーい」

男「あと多分ばーさん帰って来ないから、お前ん家で夕飯食うわ」

幼「じゃあお母さんに言っておきますね〜」
554 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/07/06(水) 19:04:31.19 ID:3rvyjlNTO

今日は以上ー

>>550
それだ!
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/07(木) 10:57:57.53 ID:yNeqC5sao
後7年で完結か
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/11(月) 23:58:07.39 ID:4Y+ULFmy0
ホタルがホテルに見えた俺はもう無理だ
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/17(日) 16:40:17.20 ID:9KE22yC30
あと7年で完結なら、男が10年前に戻った意味が無くなってしまうな…
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/17(日) 19:44:42.96 ID:bAbzCJdAO
sageを覚えろ
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/01(月) 00:57:32.75 ID:trgw2H8Q0
わくわく
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/01(月) 01:13:00.68 ID:AYhj7DMo0
ちゃんと完結まで10年でも待ってやるんだからっ!
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 02:21:10.77 ID:iOE3uiAt0
いろはちゃんうちにも1台ほしい…
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/23(火) 10:37:04.70 ID:fMqFcMuzO
はよ
563 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/08/27(土) 21:14:27.99 ID:O0uwW6eFO
カチャ ブロロロロ...

男「とりあえず金網まではカブで行くぞー」

幼「はーい♪じゃあヘルメット持ってきますね〜」トテトテトテ

男「しかし..夕方になっても暑ぃな...」

少し先に目をやると、道路の上の陽炎が視界を歪める。
頭上にはトンボが飛び周り、田んぼの隅にはホウネンエビが群れ、セミは爆音を鳴らしていた。

幼「お待たせしました!」

男「おし、じゃあ後ろ乗れ。出発すんぞー」

幼「はーい♪」ギュッ

気を抜いたら倒れてしまいそうな暑さの中、背中から伝わる温もりだけは心地よかった。
564 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/08/27(土) 21:14:54.92 ID:O0uwW6eFO
男「とうちゃーく」キュッ

幼「ここから歩きですね。行きましょう!」ワクワク

男「おーい、歩くのはいいがメットは取ろうな」

幼「はわわっ、忘れてました」カポッ

男「あとは少し歩くだけだから。10分も掛かんないぞ」

幼「わわっ!?なんかオウムみたいな虫がいます!」

男「んー?オオヒラタシデムシの幼虫だよ。側溝とかにいっぱいいるぞ?」

幼「へー。ダンゴムシのお父さんみたいですね〜」

男「ほら、もうすぐそこに池があるから。行くぞ」

幼「はーい♪」
565 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/08/27(土) 21:15:56.69 ID:O0uwW6eFO

夏って忙しいよねぇ...
来年の夏には完結させますorz
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/30(火) 20:12:41.89 ID:goK3RWovO
無理に完結させなくてもいいんやで〜
このまま来年も、再来年も書き続けてくれてもいいんやで〜
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/08(木) 00:53:49.21 ID:UQss/i2a0
頑張ってくれえ>>1
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/10(土) 08:56:21.27 ID:LVkcE5vco
スレ立て10年後の8月に完結させるんだろ
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/21(水) 02:26:46.33 ID:Nlhud2DK0
10年後の完結までついていきます!
570 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:38:06.59 ID:CcyObxn5O
男「ここも懐かしいな」

幼「そうですか?確かに去年振りではありますが」

俺にとっちゃ10年振りなんだよ。
幼がいなくなってからめっきり外遊びもしなくなったからなぁ...

男「もうすぐで日の入りだが、さすがにまだ蛍はいないか」

幼「まだほたるんいないのん?」

それはほたるじゃなくてれんげだ。
ってかなんで知ってるの?知らないよね?
571 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:38:34.62 ID:CcyObxn5O
男「おぉーギンヤンマだ、綺麗だな」

幼「めっちゃ早いですね」

超低空飛行からの急上昇、急降下を繰り返すギンヤンマ。
こう見てると緑色の体色と相まって零戦みたいだ...っつーか烈風?
秋月型呼んでこないと捕まえられなさそう。

そういえばクレー射撃してたときに、構えた瞬間トンボが照星に留まってどうすればいいか分かんなくなった時あったな...ちょーかわいかった。
572 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:39:02.89 ID:CcyObxn5O
辺りが段々と薄暗くなっていき、林の中はほぼ暗くなってしまった薄明時。
セミも鳴き止み、風が優しく池面を撫でていく。

幼「あ!あの光ってるのホタルじゃないですか!?」

目を凝らすとうっすらと見える緑色の優しい光。
よく見ていないと見失ってしまいそうな弱い光だった。

幼「...なんだか弱々しいですね。一匹しかいませんし」

確かに今は一匹しか光っていない...でも...

男「まぁ見てろって、すぐに待ち望んだ景色が見られるから」

幼「ホントですか....ぁ」
573 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:39:29.98 ID:CcyObxn5O
生物界において、ある一匹の個体が動き出すとそれにつられて他の個体も同じように動き出す現象が度々みられる。
経験したことはないだろうか?スマホに夢中になり、気が付いたら空がうっすらと青くなりかけた頃。
一匹の朝を告げる囀り、それに続けと一斉に鳴き出す小鳥達を。
感じた事はないだろうか?いつの間にか一斉に鳴き出し、いつの間にかひっそり息を潜めるセミの爆音を。

それらを生物学では“同期現象”と呼ぶ。

最初は見落としてしまいそうな一匹の雫が、気が付けばすべてを飲み込む海流になって押し寄せてくるのだ。
574 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:40:27.68 ID:CcyObxn5O
男「ほらな、こんな風に」

幼「....!!」

目を開けば視界いっぱいに翠色が広がる。
何百ものホタルがお互いを照らし、自分の命を燃やしているのである。

幼「すごい...綺麗...」

男「こんだけすごいのは初めて見たな」

池面いっぱいに広がったホタルが、二人を包み込む。
575 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:41:16.18 ID:CcyObxn5O
幼「男君!ホタルが指先に留まりました!」

男「おー綺麗だな。どれ、俺も...」

手を差し出すと一匹のホタルが指に寄ってきた。
そしてそのまま....

幼「おー、私と同じ場所に留まってますねー」

男「おいおい...左手の薬指とか...」

なにこれめっちゃ恥ずかしい...
二人して左手の薬指で光ってるとかまるで...

幼「ホタルってよく見るとかわいくないですね。光ってなかったら害虫ですよー」

男「....」ワシャワシャ

幼「わーわー!なにするんですか!髪が乱れちゃいますよー」

男「いや....なんか幼が幼で安心した。」

このやろう...俺のなけなしの思い出を返せ...
576 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:42:11.85 ID:CcyObxn5O
男「じゃあ遅くなってもあれだからそろそろ帰るか」

幼「そうですね。あ、男君!」

男「んぁ?」

振り替えると翠色に囲まれた幼が微笑んでいた。

幼「また来年も...二人で来ましょうね♪」ニコッ

男「...覚えてたらな」

幼「もー、そういうこと言っちゃダメなんですよ?」

男「いやいや、お前には言われたくないわ」

真っ暗な林道を二人で歩く。

なぜか懐中電灯つける気にはならなかった。
577 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:43:00.18 ID:CcyObxn5O
〜幼家にて〜

男「ただいまー」

幼母「おう、お帰り。飯できてんぞ」

幼「わー、カレーのいい匂いです!」

幼母「今日は夏野菜カレーだよ」

幼「美味しそうです!」

男「おー、このナスめっちゃうまそうじゃん」

幼母「それお前のとこの畑から採れたナスだぞ」

男「秋ナスは嫁に食わすな、なんて言いますもんねぇ」

幼母「夏野菜だっつってんだろ!!」
578 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/09/21(水) 21:45:36.48 ID:CcyObxn5O
あと7年がんばるかぁ...
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/22(木) 09:33:25.04 ID:3z08/0uJO
おうまた明日な
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 08:59:32.77 ID:bjKh1vINo
孫の代まで書かないとな
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 20:47:48.27 ID:YIlw1xlwo
582 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:27:48.89 ID:oLDvjsZQo
ーーーー

男「....ふぁ」ガラガラ

ババ「おはよう」

男「おはよー。あれ?今日は山じゃないの?」

ババ「猟友会のじーさま方も疲れてるんだぃ。そんなしょっちゅう行けないよ」

男「あー...体力的な問題ね。そういえば師範は最近撃ってんの?」

ババ「なんか仕事が忙しいらしくて最近は来てないねぁ」

男「そっか」ピンポーン

ババ「こんな朝早くに誰だい?悪いけど見てきてくれ」

男「ほいほーい」
583 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:28:38.01 ID:oLDvjsZQo
男「どちらさまっ...なんだ噂をすればってやつか」

師範「ガハハ!よぅ男!相変わらずしんく臭い顔しやがって!」

朝っぱらから暑そうな人がやってきた。
なんで朝からそんな元気なんだよ。

男「辛気臭いな。なんだよシンク臭いって、水垢凄そう...ん?獣の匂い?」

一瞬いろはかと思ったが、当の彼女は俺の部屋の押し入れの中で爆睡している。昨日帰ってきたのを確認してないので、夜中にひっそり帰ってきたのだろう。

師範「いやぁよ、最近俺の杉林にイノシシの痕跡があってな。放っておいてもよかったんだがそのうち村に降りてくると思って、箱ワナ仕掛けておいたんだ。んで朝見てみたらこうなってたって訳よ」

師範が乗り込んできたユニック付き2tトラックの荷台を見ると、恐らく体重70kg前後の立派な雄イノシシが箱ワナにかかっていた。
584 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:29:31.50 ID:oLDvjsZQo
男「おー立派だな。んで?なんでうちに生きたまま持ってきたんですか?師範は銃持ってるでしょ?」

師範「それがよぉ、最近許可捕獲行ってなかったから弾買ってねぇんだよなぁ」

男「なるへそ...譲り受け帳の弾数越えたんですか?」

師範「いや、300発で申請してるからそれは大丈夫だ。射撃用の弾は余ってるんだけどなぁ」

男「いや、スラッグじゃないとダメでしょう。そもそも射撃用で申請した弾で獣撃ったら、目的外使用でアウトですよ?」

日本では弾を買うのにも警察からの許可がいる。
この目的のために一年で実包をどれだけ買うという申請書を、使用予定表と一緒に提出しなければならない。しかも有料で。さらにこの申請は各目的毎に必要になるので、射撃と狩猟と許可捕獲をする場合には、三種類の申請書を警察に提出する必要がある。なので当然、狩猟のために買った弾を、許可捕獲で使用するといった事は禁止されているのである。
585 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:30:22.43 ID:oLDvjsZQo
師範「ってなわけで、ばーさんに頼もうと思ってな」

男「おk。じゃあばーさんに呼んでくるわ」

居間に戻ろうとすると二階からちょうどいろはが降りてきた。

いろは「おはふぁ〜はぅむにゅ」

男「なんて言ってんのか全然分からんがおはよう」

いろは「...あさからなんかさわがしぃよぉ...ふぁ」

男「あー色々あってな。とりあえずコーヒー飲むか?」

いろは「...のみゅ」

ほんと寝起きだけはかわいいのなこいつ。
586 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 21:30:52.84 ID:oLDvjsZQo
男「ばーちゃん、師範が止め刺ししてほしいってさ」カチャカチャ

ババ「あれ?なんであいつ自分でやらないんだぃ?」

男「弾がねーだとさ」コポポ...

ババ「なるほどねぇ。ついでに電殺器の作り方教えてやるか。じゃあちっと見てくるよ」ヨッコイセ 

男「いってら」カチャカチャ

いろは「...すぴー」

男「ほら起きろいろは。濃いめのアイスコーヒー入れたぞ」

いろは「んぅ...飲ませて...」

男「おうこら金取るぞ」
587 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:44:00.14 ID:oLDvjsZQo
男「んで?昨日はどこ行ってたんだ?」

いろは「この前の事をちょっと色々確認したくてね。クソ神への報告のついでに市役所行ってたのよ」

濃いめのコーヒーを飲んで目を覚ましたいろはは、服の裾で目元をごしごしと擦りながら言った。
っていうかなんで俺の服勝手に着てんだよ。お前神様の承諾がないと服脱げないんじゃ...あ、勝手に承諾してたのね。おい、いい加減目を擦るな。おへそ見えちゃってるでしょーが。

男「へー?あれ?でもお前他の人から見えないのに市役所行ってどうすんの?」

いろは「あたしが行ったのは人外用の市役所。
あんた達人間が作った市役所をカモフラージュにしてね。同じ場所でもそこだけは天界になってるのよ」

なるほど。2礼2拍手すれば入れんのかな。なにそれ素敵な喫茶店が出てきそう。んでキツネがワンって鳴きそう。
588 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:44:53.12 ID:oLDvjsZQo
いろは「それで色々調べてもらったんだけど....この前あんたが襲われたのってカラスだったでしょ?」

男「いや、多分そうなだけで確信はねぇ。でも十中八九そうだと思う」

いろは「普通のカラスはあんなスピードで逃げれないし、スピード狂の鳥が集まる公園に行ってみたんだけど...そんな早いカラスは見た事ないし、いたら撃墜するって言ってた」

男「なにその公園、すげぇ怖い」

いろは「鳥界の大黒PAって呼ばれてるわ」

男「湾岸にはちと遠いがな」

いろは「んで、調べた結論から言うと...少し厄介な奴が紛れ込んでるみたいね」

男「...それはもしかしなくても死の神関連か?」

いろは「ご名答。彼女の使獣...八咫烏よ」
589 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:45:29.64 ID:oLDvjsZQo
いろは「まぁぶっちゃけ誰だっていいのよ。つまりは彼女が本気を出して来たってこと」

男「なんで...なんで幼馴染にそこまで執着するんだ...」

いろは「...分からないわ。でもね、神様ってのはいつだって気紛れなのよ。それこそあなたを10年後から引っ張り出してくるうちのアホ上司のように」

男「...」

いろは「何を考えてるか知らないけど、あなたの願う事、するべき事は何も変わっていないのよ?ただ周りが少し小うるさくなっただけ」

いろは「過去は悔やんだ、未来も願った。じゃあ現在はどうするのかしら?」

そう言い放った彼女は、とても美しく、まさしく神獣であった。
590 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:46:27.15 ID:oLDvjsZQo
男「...いろは」

いろは「カラスだがガラムだか知らないけど、あたしがフィルターまで吸って灰皿にポイしてやるわ。だからあんたは幼ちゃんだけを守ってればいいの。

あんたの事は、あたしが守ってあげる」

ははっ、そりゃガラムならそうしてやらんとな。

本当にこいつは...普段は食っちゃ寝ばっかしてるくせに...

男「いろは」

いろは「ん?」

男「...さんきゅ」

いろは「...いいえ〜、お仕事なので♪」

そう言った口元には優しい微笑みが浮かんでいる。
頬が少し赤いのは気のせいではないだろう。

ホント、寝起き以外は可愛くない奴め!!
591 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/10/21(金) 22:47:09.86 ID:oLDvjsZQo
久し振りに本気出した
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 12:07:29.90 ID:38xVrIzo0
支援
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 01:32:30.56 ID:Vlbm5n/A0
本気と書いてマジ
マジ出した←何を?
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/10/29(土) 10:27:10.88 ID:HWcTRHxU0
まだかなー
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/23(水) 01:45:34.50 ID:E7CLuktbo
支援
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/27(日) 16:35:34.81 ID:MQPc6Och0
支援
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/05(月) 21:25:17.60 ID:qXONbYFQ0
@@@@
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/05(月) 23:31:07.77 ID:GG40NbvH0
支援
599 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:23:14.35 ID:wi4eF1Yv0
ーーーー男の家

友「焼肉食いてぇな」

男「...」

幼友「...」

幼「ッ!?」

友「...焼肉食いてぇなぁ!?」

男「いや聞こえてるから。なんなのいきなり」

友「あれ?以外と反応が薄い感じ?」

幼友「どっちかっていうと餃子の気分だったし」

男「そういう問題かよ」

幼「...ふっ、しょうがないですね」スクッ

男「お前は一回座れ。なにやれやれみたいな雰囲気だしてんだよ。めっちゃ笑顔じゃん」
600 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:23:54.85 ID:wi4eF1Yv0
友「なんかさ最近食ってねぇなーって思ってさ。折角だしバーベキューみたいな感じでやらね!?」

男「いや...やんのはいいんだけど、いつやんの?」

友「今から」

男「...道具は?」

友「ない」

男「...食材は?」

友「ない」

男「...どうすんの?」

友「どうにかしろ」

男「」イラッ
601 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:24:28.78 ID:wi4eF1Yv0
友「いででででで!!?うそうそッ!ごめんって!!」メキメキメキィ

男「幼、ちょっとそこの剣鉈取ってくれ。こいつ解体して肉にしようぜ」

幼「...」スッ

幼友「ちょっと待ちなさい。なにホントに渡そうとしてんのよ」ガシッ

幼「いえ、この際友君の肉でも良いかなと思いまして」

幼友「何もよくないでしょ...」

いろは(うるさくて起きちゃったけど...この状況なに)
602 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:24:57.38 ID:wi4eF1Yv0
友「はぁ...死ぬかと思った」

男「おう、殺す気だったからな」

友「おっと顔がマジだぞこいつ。近々俺が死んでたら男が犯人だからよろしく」

幼友「それで?どうするつもりなの?」

友「多分道具は師範に言えゃ貸してくれるだろ。問題は食材だが」

男「まぁ野菜は出してやる。肉も獣肉でよければやるよ」

友「問題が解消した瞬間である」
603 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:25:26.35 ID:wi4eF1Yv0
幼「どうせならいろはちゃんも連れて河原でやって、釣った魚とかも食べたいですね」

幼友「あーそれいいかも!あそこの川だったらヤマメとかいたもんね!」

男「だってよ友。釣れよ」

友「いいけど...お前のほうが適任じゃね?」

男「俺は釣りが苦手なんだよ」

友「そういえばお前が釣りしてるところあんまり見たことねぇな」

幼「男君は待てができない子なので釣りにむかないのです」

幼友「たしかに、言えてるわね」

男「動く釣り方も沢山あるんだが...どうもな」

幼友「その点友は結構釣りしてるもんね?」

友「師範がよく連れていってくれたからな。まぁ魚は俺ががんばるか」
604 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/11(日) 01:27:21.03 ID:wi4eF1Yv0
>>592->>598
支援感謝
遅くなってすまん
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/11(日) 02:09:21.87 ID:QIDNIq9e0
支援
606 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:15:27.25 ID:1oy2bfVT0
----

男「....」ボー

あれからなんやかんやで準備を進め、必要最低限の荷物だけを持って河原にやってきた。
河原といっても渓流なので、山間の少し開けた場所でやることに。

男「...なんかあれだな、こう揺れる水面を見てるだけで心が洗われるな」

いろは「そうねぇ...なんだか洗濯機みたいだものね」

男「確かにそうだけど...その例えはどうなのよ」

いろは「だってそこそこ流れ早いじゃないここ」

男「そりゃ渓流だからなぁ...幸い治水工事が全然入ってないから上流に砂防ダムも無いし、護岸されてないから植生も豊富だ」

いろは「たまにチラッと魚が見えるわね...イワナ?」

男「どうだろう...ここまで下がってきたらいるかもしれんが。多分ヤマメかアマゴじゃねぇの?」

いろは「へぇ...とりあえずそれだけ魚はいるのね」

チラッといろはが釣りを担当している友と幼友に視線を送る。
ここから見ている限りでは、釣果はあまり芳しくないようだ。
607 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:15:57.06 ID:1oy2bfVT0
男「...まぁ許してやれ、養殖と違って天然は釣りにくいらしいから」

いろは「そういうものなの?」

男「俺自身釣りはあんまりしないから分からんけど、そういう話はよく聞く」

いろは「でも同じ魚なんでしょ?そこまで違うのもの?」

男「やっぱ飼育下の魚と天然じゃ警戒心が違うんじゃねぇの?」

ひょいと小石を水面に落としてみると、ふらふらと泳いでいた魚が一瞬で岩陰に隠れた。

608 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:16:34.29 ID:1oy2bfVT0
幼「薪割り終わりましたよ〜っと、何かしゃべってました?」テトテト

男「あー、ついいろはに喋り掛けちまってな」ナデナデ

いろは「コーン」モフモフ

幼「わはー、なんだか渓流とキツネって合いますねぇ♪」

男「ところで釣班の方はどうだ?」

幼「あまりよくないみたいですねぇ。一応2匹は釣れたみたいですけど」

男「この時間から始めて二匹釣れれば上々だろ。俺は火の準備をしてくるから釣班を呼んできてくれ」

幼「りょーかいです」ビシッ テトテト

男「さて...火口はカラマツの落ち葉でいいとして...細枝が少ねぇな。いろは、ちょっとその辺から拾ってきてくれ」

いろは「いいけど...あの三人はどうするの?」

男「あの3人はまだ川でもみくちゃしてるから平気だろ。戻ってきたら適当に言っとくし」

いろは「じゃあ拾ってくるから。少し待ってなさい」
609 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:17:05.21 ID:1oy2bfVT0
友「結局粘って3匹しか釣れなかったな...」

幼友「私なんて一匹も釣れてないわよ...」

幼「お二人ともお疲れさまです♪」

男「おー、おかえりさん。どうだった?」

友「全然だよ...ほれ」

男「そうか...もっと手っ取り早く捕まえる方法があったんだけどな」

幼友「なにそれ?そんな方法あるなら早く教えなさいよ」

男「まずバイク用のバッテリーを用意します」

友「おいこらその先は言わせんぞ」

男「なんでだよ。一発で大漁だろ」

友「一発で逮捕なんだよなぁ!?」
610 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/25(日) 21:17:31.37 ID:1oy2bfVT0
幼「そういえばいろはちゃんはどうしたんですか?」

男「んー?そろそろ戻ってくるとガサッ お、戻ってきた...か?」

友「おっと...これは野生の血が目覚めちゃったかな?」

幼友「なんかこう...すごいわね」

おいおい、俺は小枝を拾ってこっつったよな。
それがどうなったらこう...

幼「カラスって食べられるんですかね?」ジュルリ

いろは「...」フガフガ

カラス「」ピャー
611 : ◆6FKbqG4.1U [saga]:2016/12/26(月) 00:21:33.30 ID:ymsSpvG60
男(...えー男よりいろはへ、現状を報告せよ)

いろは(フゴ...フゴフゴグェ)

男(なんで頭で会話してんのに口が詰まった感じになってんだよ...いいからはよ)

いろは(ング...拾った)

男(拾ったって...カラス拾うってお前...よく考えたらたまにあるな)

いろは(あるんだ...)

男(んで?どうすんのそれ?一応カラスも食えるけど...)

いろは(いやいや、こいつ足三本ある)

男(足三本って珍しい奇形だ...)

----

いろは『あんたが襲われたのってカラスでしょ?』

男『それはもしかしなくても死の神関係か?』

いろは『彼女の使獣...八咫烏よ』

----


男「あぁぁぁぁあぁぁぁぁ!?」
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