過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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535:名無しのパー速民[sage saga]
2018/10/18(木) 22:32:35.69 ID:aFNYd7jt0
>>531

【しんとした夜だった、風はいくらも冷たくなって、それでも昼間の日差しはそれなり以上に暖かだから、着るものに悩む頃合い】
【空を見上げれば曖昧な形の月のうんと近くで真っ赤な星が一つ寄り添っている、――それなら、近づいてくる足取りの奇妙さも、或いは赦される気がして】

――――――お引越し屋さんの、経験値稼ぎですか?

【――よいしょ、だなんて、小さな声がして。やがて傍らに立つ人影があるのだろう、話しかけて来る声はいかにも少女らしい瑞々しさに、甘やかさと涼やかさを兼ね備え】
【何より足取りはひどく緩やかであったから、声を掛けられる前に目をやることだって、十分にあり得た。時刻を思えばそうするべき、とも言えるほどなら】
【ひょこりと右足をひどく庇うような仕草をしていた、――それはさておいて、許可を得る前に、そのベンチの片隅、勝手に相席をしようとするから】

【白銀の髪は腰ほどまで伸ばされていた、月光と街燈に冷たく冷やされれば、上等なバニラアイスよりも冷たげにも見えて、けれどどうしても甘やかさは隠しきれず】
【日焼け知らずの真っ白な顔にまあるい眼は大海と蒼穹の狭間にある水平線の色合いをして。縁取る長い睫毛は白と薄藤を重ねた、特徴的な色合い】
【首元までを隠したシャツに、きゅうと結わえたリボンタイ。リボンの尾っぽは甚く豊かな胸元の上にころんと寝転ぶ猫のように自由気ままな形を描くなら】
【きゅうっと締まった腰元から拡がるスカートはたっぷりの布地を使った全円スカート、指先にも足元にも、素肌を露出しないドレスグローブと厚手のタイツを纏って】
【その足元はかかとの低いサンダルであって。――やはり右足を痛めているのか庇うような仕草が、目立つのだろう】
【――――十七歳ほどだろうか、現るのは一人の少女であって。それ以上にもそれ以下にも見紛うことないのは、どうにも、ひどく、彼女が少女らしいものだから】

……ごめんなさい、ヒドイ人にね、追い出されてしまったの。外の風でも浴びて来いって。だから――でも、足を怪我していて。
あの人にはよーく言い聞かせておいてもらうから。だから、少しだけ、休ませてもらってもいいですか? 邪魔はしませんから。

…………まあ、いくらかは、見てるかもしれないですが。

【ふわーって吐息は疲れたって言いたげなものであった。ならば投げ出す足、ベンチに手をついたなら、背中を伸ばすみたいに、頭を後ろに傾けて】
【大きな胸元がゆらり揺れる、長い毛先がそろり――と微かな音で、ベンチを撫ぜて。数秒程の仕草を終えれば、彼女は、相手のことをじっと見やるのだろう】
【今更ながらに相席の許可を窺う、どうやら彼女は"だれか"への不満に唇を尖らせて、――そのくせひどく他人任せな感じに言葉は終わる。だから、重大ではない】
【――それでもなにか気疲れしたような気配は感じられるかもしれなかった。誰かのそばにいるだけですら何かが癒されるような顔をしていた。――それでも、もちろん、】

【相手が嫌がるようなら、彼女は立ち去るのだろう。ただその時はいくらも悲しい目をするんだろうなってそう思わせるような"なにか"、纏っているから】


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