316:名無しのパー速民[sage saga]
2019/07/10(水) 16:28:32.37 ID:/WVhDhtX0
>>314
【少女が彼女の登場に気づいたのは声を掛けられてからだった】
【陰と疲れが塗り込まれた、丸くなって落ち込んだ体に染み入るみたいに優しく降る鈴の音は、具合の悪そうに閉じられた瞳を開かせるのには十分だった】
【青い瞳ですぐ隣に同じようにしゃがんでくれている少女をとらえる。曇り空でも輝くみたいに艶やかな黒髪、美しく揺らめく不思議な瞳を持つ少女ーー】
【その瞳に、自分の視線が吸い寄せられるような感覚ーーーー抵抗もせずにじっと見つめてしまう】
【あまりにも遠慮なく、自分の隣に現れた少女を見つめる自分に気づいてやっと、少し視線を逸らした。少女のふわふわなワンピースが地面についてしまっている】
……手伝って……くれる………………えっ?
【現実に戻ってこれたのは、少女の二言目の思ってもない台詞を聞いたからだった】
【あからさまに疲れていることと、キャパオーバーな荷物をみて自分がこれらを家に持ち帰るなんて「無理」だと察してくれたのだろうか】
【当然のように。見返りとか恩とか、そういうものを期待してます感0の、今の自分には神様が遣わしてくれた天使のような、ちょっと大袈裟なんだけどそう感じてしまうくらいに有難い一言を、現れた少女が言ってくれている】
【「いいえ、迷惑をかけるわけにはいきませんから」いつもだったらそう言っているだろう、少女の口から、溢れるみたいにーー】
//続
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