【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
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244:名無しのパー速民[sage saga]
2019/05/17(金) 21:31:26.93 ID:qQFbkDZf0
>>243

【――確かにそれでいいのかもしれなかった。だってわたしたちの一番最初は夜の公園で、思い出の中にはホットスナックの香りが漂って】
【ふっとコンビニに立ち寄ったときに唐揚げとかポテトとか気になっちゃう瞬間に、その時のことをほんの少しでも思い出してないかって言ったら、嘘になる】
【思えばあれからたくさんの時間が経っていた。いろんなことがあった(そしてきっと多分ありすぎた)。――だけど変わんないのはあの時食べたジャンクな味、】
【だってきっとおんなじコンビニで同じものを買ったって、もうレシピは変わっちゃってるんだ。だから思い出の中にしかなくなってて、だからこそ変わんないなら】

【無限ループを断ち切ってくれる勇気に甘えて、彼女はそんなことないって言わなかった。――だからやっぱりどこまでも甘えていた、ひどい話】
【それこそ恋人でもない誰かを無理やり犯すみたいなことをしたのに、――おともだちって言ってもらえて喜んでいるから、やっぱり悪い神様の成れの果て】
【だとしても今更何にもなれぬ残滓でしかなくって、たぶん、むかしの信者に見せたなら「これじゃない」って言われちゃう、そんな、ものだけど】

………………………………――――、

【ぱちりと瞬きをした、教えてくれたことが嬉しいみたいに少しだけ緩む眼差しを覆う長い睫毛が震えるようにゆっくり瞬いたら、黒と赤のはざまの視線、蕩けるように赤く帯びて】
【あなたの赤色をまねしたって言うには少しだけ何か違うのだけれど、――繋いだ指先の温度はそれでも互いにきっと生きているから、汗ばんでこそないけど、湿っぽいから】

(【「……どんな味か分かってたら、あるもので作ってもいいけど。こんなの聞いたこともないし、なんだかもわかんないし……」】)
(【「そもそも**語になってないし。……見てこれ、「し」と「レ」がごっちゃになってるし、「ラ」が「う」になってる」】)
(【――もしかしたらあんまり信用できないたぐいの本なのではないかとそろそろ思えてくるところだった。それでも出来上がりの写真はなんだかおいしそうだから】)
(【やっぱり信じてみることにしよう。おいしくなかったとしても一人で食べないならネタにもできる。――自分だけで作ってマズいんじゃ、単なる失敗作じゃない?】)
(【(だから彼女の感想は「パンダって、――結構汚れてるよね」。言いながらお揃いのキーホルダーを買う。それから、ほんとのパンダの赤ちゃんと同じ重さのぬいぐるみも】)
(【それからマヌルネコとか見ちゃうんだろう。かわいく撮れるまで粘ってみるけど結局ブレたのしか撮れなくて。せっかくのマヌルネコもブレブレじゃいいねだって二つだけ】)】
(【タピオカでもシバいてお行儀の悪い歩きスマホ、キーワード検索で別の人が撮った写真なんて見て、「これ絶対べつの動物じゃん」……ぶーたれる】)

(【「はいじゃあどうぞ」当たり前にピーラーを渡してくる笑みが悪戯っぽかった。そういうふうに人をからかう方法を知らないではないのだと、見せつけていた】)
(【そして二人一部翻訳の怪しいレシピ片手に、ときどき検索も駆使して、レシピサイトも見て、――やがて完成する謎の食べ物、見た目はレシピ本とおんなじ、味わいは、】)
(【――――本物を知らないから比べられはしないけれど、まあ、それなりにおいしいものができるのだろう。感激するほどおいしくはないのが、午後の気の抜けた気温とおんなじ】)





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