114:名無しのパー速民[sage saga]
2019/04/26(金) 00:25:42.05 ID:CcwABreg0
>>113
【掌に感じるのは、障壁を断ち刃と刃が弾けるその手応えだけ。首元に走る激痛に耐えながら、ただ策が成るその時を待ち】
【――その、結果として。イストは賭けに勝った。獣を貫く自らの眷属の姿を見やり、しかし最後までギンコから目を離すことはなく】
【やはり、とそう思ったのが正直なところだ。……この程度で蒐めきれる"怪異"ではない。これまでの手合わせで、それをひしひしと感じていた】
そうだね。……今日のところは、わたしの勝ちにしておこう。
キミの行いは許せないけれど――でも今宵の物語は、とても良いものになったよ。
さようなら、ギンちゃん。うん、経緯はどうあれ、わたしはキミに逢えてよかったと思ってる。
――キミをこの手に納める日を、楽しみにしているね。
【継戦不能を察知するや素早く駆け上っていく彼女の姿を、しかしイストは追わない。弓で狙うこともしなかった】
【"石化"が解ければ――首元から少なくない量の血が吹き出す。即死するレベルではないが、すぐに処置しないと病院に付く前に倒れそうだったから】
【傷口を押さえたままの青白い顔で、しかしやはり柔和な笑みを崩さずに、去っていく彼女の背にそんな言葉をかけるのだろう】
【そして――少しばかり経って】
………………あ゛ーーー!!!! ヤバかった!!! マジでヤバかった!!!! 死ぬかと思ったあああああああ!!!!
【"蒐集家"という仮面が外れた素っ頓狂な女の叫び声が響き渡ったが、幸いにも聴くものは誰もいなかった……】
【一通り発狂したあと、ようやく傷口の処置を終えると、――取り出したる冊子に、痛みも忘れてさっそくとばかり書き記す】
【首を落とされ息絶えたそのヒトの容姿、顔つき、推察できるすべてをそこに書き残して、確かにこの世界に"在った"ことを証明するのだ】
【――そして、もちろん。そこには恐るべくも美しき、ギンコという名の"怪異譚"もまた、平等に添えられているのである】
/お疲れさまでしたぁ!!
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