113: ◆S6ROLCWdjI[sage saga]
2019/04/26(金) 00:04:57.65 ID:wiB1p+cK0
>>112
――――――――――え、
【食い込んだ刃のそれ以上動けないさまを、手に伝わる感触で察知した。すれば引っこ抜くしかないのだが】
【それにはまあ時間がかかる。であれば余裕もなくなる――前しか見ていない。そも余裕があったとしても、】
【後ろを振り向けるかはわかりはしなかった。そんなものはイフの話。現実には起こり得ないなら、意味はない】
【だから対応できたのは居合だけだった。「≪パーティ≫、」焦ったような声音で障壁を眼前に作り】
【さらにその向こうに戻ってきた刃で受け止める構え、――――「ばりん」。破砕の音が、鳴ったなら】
【障壁の残滓と散らばる破片に赤色が撒き散らされるのであろう。背後からおなかの辺りを突き刺されて】
【かふ、と息を零した。その中にも血が混じっていた。居合を受け止めた刃から、力が抜けてゆく】
【――そのまま膝を突くのだろう、かと、思われた。けれどギンコはそうしなかった、虚ろな手つきで背後を探り】
【自身に突き刺さった枝を――ぼぎり折って、力任せに引っこ抜く。そうすればまた血が溢れるとわかっていて】
【げほ、ともう一つ、今度は重たい咳を零して――それでも笑っていた。口の端から零れる血の止めようもないのに】
……………………あ゛、っははは、…………しょーがないな、きょうは、
【「ギンちゃんの、負け」。――そう口にするなら、これ以上もう動けないと言うことだろうか。……違った】
【すみれ色にて天を仰いだなら、その視線の先にまたいくつもいくつも障壁を作り出して――それを足場に】
【今度は駆け上っていくのだろう。そうして聳え立つ建物の屋上へ――逃げた。あれだけの傷を負っておきながら】
【だと言うならやはりあいつは人間ではなかった。だけどこれ以上戦えないと判断したのだろう、そういう思考だけは】
【やたら人間っぽかったから――奇妙であった。そういったところも、イストの欲を満たすに足りる怪異たるだろうか?】
【わからないし、わからせやしないけど。今宵残った事実としては――逃げたウサギは「今日は」と宣った】
【ならばいつか来る「今度」を期待しているのだろうと。それを待って、これからもこういう場所で人を殺すのだろうと】
【そういう物語の残滓だけ。――満足してくれるだろうか。してくれなくても。ウサギは、笑っていたのに間違いない】
//ここらへんでしょうか!おつかれさまでした、大変楽しかったです!
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