167:読書[sage]
2019/05/17(金) 19:08:55.52 ID:d59I1mtF0
C■~ *村上春樹「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2009」(文藝春秋 2010年)
☆内田の村上本が面白かったので読んではみたものの、はっきり言って面白くない。村上自身があとがきにも書いているように同じような質問に同じような回答。バリエーションを変え、重複を避けたとは記しているものの、それでもねえ…。以前、新聞で「ゴーリキーから文体を学び、チャンドラーから比喩を学んだ」と書いてたのを覚えてる。
61-62
短編というのは三日で書くんです。というか、三日で書かないと意味がない。スコット・フィッツジェラルドはパーティーの合間に二、三日で短編を書いて、今の日本の感覚で言うと百万円くらいの原稿料をもらって、また遊んで、その合間にまたすらすらっと短編書いて、また百万円もらって、という生活をしていて、そういうのを読むと前はすごいなあと思っていたけれど、いまになってみると、三日で書けない短編は短編じゃないと思うようになった(笑)。もちろん三日かけて書いたあとは、十回も十五回もグシャグシャ書き直しますよ、何日かかけて。でも、ファースト・ドラフトは三日間。三日ひと息で書き終わって「よし」と思わないとダメなんです。
88
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の続編を書きたいと前から考えていました。しかし結局それは放棄して、その代わりにこの作品(海辺のカフカ)が生まれることになったのです。
107
今、世界の人がどうしてこんなに苦しむかというと、自己表現をしなくてはいけないという強迫観念があるからですよ。だからみんな苦しむんです。僕はこういうふうに文章で表現して生きている人間だけど、自己表現なんて簡単にできやしないですよ。それは砂漠で塩水飲むようなものなんです。飲めば飲むほど喉が渇きます。にもかかわらず、日本というか、世界の近代文明というのは自己表現が人間存在にとって不可欠であるということを押しつけているわけです。教育だって、そういうものを前提条件として成り立っていますよね。まず自らを知りなさい。自分のアイデンティティーを確立しなさい。他者との差異を認識しなさい。そして自分の考えていることを、少しでも正確に、体系的に、客観的に表現しなさいと。これは本当に呪いだと思う。だって自分がここにいる存在意味なんて、ほとんどどこにもないわけだから。タマネギの皮むきと同じことです。一貫した自己なんてどこにもないんです。
157
作家にとって書くことは、ちょうど、目覚めながら夢見るようなものです。それは、論理をいつも介入させられるとはかぎらない、法外な体験なんです。夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです。
175-176 お金
お金で買うことのできるもっとも素晴らしいものは、時間と自由である、というのが僕の昔から変わらない信念です。時間と自由があれば、雑事に邪魔されることなく、集中して次の小説を執筆することができます。もちろんお金がなくても、ある程度、時間と自由を手に入れることはできます。いちばん重要なことは、お金があってもなくても、自分の魂をどこまで「飢えた状態」に置いておけるかということだと思います。
180 目標
ただ、僕は自分の小説の最終的な目標を、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』においています。そこには、小説が持つすべての要素が詰め込まれています。そしてそれは、ひとつの統一された見事な宇宙を形成しています。僕はそのようなかたちをとった、現代における「総合小説」のようなものを書きたいと考えています。
210 理想
僕の理想的な小説とは、言うなれば、ドストエフスキーとレイモンド・チャンドラーをひとつにしちゃったようなものです。それがたぶん僕のゴールかもしれない。
429 墓碑銘
「少なくとも最後まで歩かなかった」、墓石にそう刻んでもらいたい。
443 JAZZ
ジャズからは三つの教訓を学んで、小説にも応用しています。それはリズム、ハーモニー、そしてインプロヴィゼーションです。
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