もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
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[sage saga]
2024/11/01(金) 20:38:22.51 ID:4JAHijIv0
フェルン(……もしかして――)
脳裏に閃くものがあった、その次の瞬間。
フェルンの魔力探知が、再び敵の魔法を感知する。
反応が大きい。先ほどまで散発的に放たれていた単発の矢ではない。桃色髪の援護として一番最初に放たれた、大量の矢を降らせる魔法。
フェルン(勝負を決めに来た? 性急ですね。これだけの魔法、向こうも消耗するでしょうに)
フェルンは飛行魔法を発動させた。木々の間をすり抜けるような低空を滑るように飛び、着弾予想値点から身を躱す。
一瞬後には先ほどまでフェルンが立っていた場所に、数十条の矢が降り注ぐ。
ほんの数メートル離れた場所からその様子を確認したフェルンは、魔法の反応があった場所へゾルトラークを撃ち込もうか迷うが――
その迷いはすぐに消えた。降り注いだ矢が、地面に着弾する寸前に軌道を変えたのだ。狙い違わず、宙に浮くフェルンの方へと。
フェルン(っ、誘導弾!?)
当然ながら、矢の弾速は飛行魔法などよりもずっと早い。飛行魔法で逃げることは不可能と判断したフェルンは、咄嗟に防御魔法を展開した。
頭上から広範囲に降り注ぐならともかく、一度地面すれすれまで高度を落としてからこちらへ向かってくる矢の群れだ。防御は前面の部分展開でこと足りる。
だがそれを読んでいたかのように、無数の矢は散開し、全方位からフェルンを貫こうとする軌道を取った。
周囲360度、頭上、足下。その全てから魔法の鏃がただ一点を刺し貫こうと迫る。
フェルン「くっ!」
防御魔法を全面展開に切り替える。魔力消費量が跳ね上がるが、背に腹は代えられない。
夥しい数の矢が防御魔法に弾かれては溶けるように消えていく。ゾルトラークほどの威力はない。だがおそらく、その分魔力消費も軽いのだろう。
それは効率的に人を殺傷するために調整された魔法だった。
第一陣を防いだが、矢の群れは切れ間無く飛んでくる。これだけの規模だ。魔力消費は大きいだろうが、防御魔法の全面展開はそれ以上に消耗する。
フェルン(不味いですね。飛行魔法と防御魔法の併用を強いられるなんて・・・…)
飛行魔法も消耗の激しい魔法だ。それと全面展開した防御魔法との併用――自身の魔力が尽きるまで20秒と掛からない。
先ほどは敵が魔法を中断したことで事なきを得た。いざとなればフリーレンも隣にいた。
だが、もしもこの状況で、矢の掃射が20秒以上続いたら?
足早に迫り来る死の感覚に、フェルンの頬を一筋の冷や汗が伝った。
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