もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
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73:1[sage saga]
2024/11/01(金) 20:36:41.85 ID:4JAHijIv0
 
◇村の郊外 森の中

 フリーレン達と分かれたフェルンは、村を囲むように存在する森の中にいた。矢の魔法の使用者を抑えるためだ。

 森に入るまでは低空で飛行魔法を使ったが、いまは地に足をつけている。フリーレンの助言もあったし、木々の合間をすり抜けて飛ぶのは難易度が高い。

 暗闇に浮かぶ木立の向こうを睨み付ける。人間の視力で暗闇は見通せないが、魔力探知は唐突に膨れ上がる魔力を感知していた。飛びだしてくる矢を、防御魔法の部分展開で防ぐ。

 こうして敵の魔法を防ぐのは何度目だろうか? フェルンは数えようとして、だが無意味な行為だと思い直した。

フェルン(……また反応が消えた)

 相手の正確な狙撃に疑念を積み重ねながら、フェルンは魔力探知に集中する。相手が攻撃魔法を使用すれば、その痕跡を拾うのは簡単だ。今のように、発動を感知して防御も出来る。

 だがその反応はすぐに消えた。同時に居場所を掴むことも出来なくなる。

 敵は魔力を極力漏らさないようにして潜伏しているらしい。

 最初の内はフェルンも応射していた。魔法の反応があった場所にゾルトラークを撃ち込み――だがその全てが無駄撃ちになった。
 攻撃魔法の発動を感知した後、それを防御している間に、敵は発動地点から移動しているのだろう。

 この敵も先ほどの桃色のように、高い身体能力を持っているらしい。

 では相手の魔法を感知した瞬間に攻撃魔法を撃ち込むか――これも難しい。敵が先手を取っている以上、良くても相打ちにしかならない。

 そしてこの状況を作り出している妙な点。それは、

フェルン(おかしい。敵はどうやってこちらの位置を把握しているのでしょうか……?)

 この敵は魔力探知を行っていない。

 相手が潜伏しているのは確かだ。攻撃魔法の使用時には魔力を漏らすが、その反応もすぐに消えてしまう。

 潜伏しているのなら魔力探知は行えない。故に、敵はフェルンの居場所を感知出来ない。そういう理屈になる。

 だが目の前の現実は理屈にそぐわないまま推移していた。敵は潜伏を維持したまま、気まぐれに攻撃魔法を撃ち込んでくる。
 一瞬だけ補足できる相手との距離から考えて、目視で狙われているというのは考えられない。遠すぎる。

フェルン(仮に魔力探知以外の方法で狙われているとして……そうすると、こちらも潜伏するというのは危険ですね。魔力探知を切れば、敵の攻撃を感知できなくなる)

 敵が使う矢の魔法の弾速はかなりのものだ。この鬱蒼とした森の中では、眼で見て防ぐのは難しいだろう。



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