21:名無しNIPPER
2024/09/25(水) 23:37:19.49 ID:accjczqR0
「あたしさ、あの後本当に近鉄が無くなったのが信じられなかったんだ。なのに野球ニュース見ても、初めから近鉄なんて無かったみたいな扱いでさ。あの時おにいちゃんが……プロデューサーが言った『好きなチームがなくなる』ってこういうことだったんだなって思った」
懐かしそうに語る友紀。俺は黙ったままだった。
22:名無しNIPPER
2024/09/25(水) 23:37:50.16 ID:accjczqR0
「あたしはキャッツしか興味無かったんだけど、それから他のチームも応援したりするようになったんだ。アイドルじゃなくて野球ファンとしての今のあたしがあるのも、プロデューサーのおかげ。野球ファン姫川友紀の物語はね、あの日から始まったんだよ」
「始まり……か。終わりじゃなくて」
友紀の言葉を反芻する。20年前に始まった物語の結果が今俺の目の前にあるのだと思うと、置き場の無かった想いがすとんと収まったような気がした。
23:名無しNIPPER
2024/09/25(水) 23:38:20.71 ID:accjczqR0
「友紀、ありがとうな」
「どうしたのさ改まっちゃって。ビール足りてないんじゃないのー?」
「俺まで飲んだら帰りに背負う人おらんくなるやろ、そういう話やなくて……」
言葉を切る。これを言ってしまえば、俺が守り続けた……いや、囚われ続けた20年は意味がないものとして消えてしまうだろう。それでいいのだ。あらゆるものに始まりがある以上、いつかは必ず終わらなければならないのだから。死ぬ前に見せる光景として、今の友紀以上のものがあるだろうか?自らの死によって完成する、野球ファン姫川友紀という物語以上のものが。
24:名無しNIPPER
2024/09/25(水) 23:39:13.86 ID:accjczqR0
「俺が今やっと『大阪近鉄バファローズ』を終わらせられた、ってだけやから」
不器用に笑って、グラウンドに目を向けた。一瞬だけ、礼を言うかのように、あの紅色が見えたような気がした。
完
25:名無しNIPPER
2024/09/25(水) 23:51:33.49 ID:accjczqR0
野球絡みで畜生じゃないユッキが見たいなぁと思って書いたらこうなりました。野球自体に複雑な思いを抱いて葛藤しつつ6年間ユッキをプロデュースしてあまつさえ進んだ関係になっちゃってたプロデューサーってどないやねんって話は無しで。
近鉄最後のホームゲームをやった9月24日に間に合わなかったことだけが心残りです。終わります。
26:名無しNIPPER
2024/09/26(木) 15:11:28.35 ID:znMYFlHB0
>>20と>>21の間にあるべき↓の部分が抜けてました本当に申し訳ありません
27:名無しNIPPER[sage]
2024/11/07(木) 01:38:21.58 ID:PKNqOcsvo
SS避難所
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