【ゆるゆりSS】きもちに寄り添う数秒間
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 22:40:47.26 ID:49voo3/L0
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 その日の夜。
 事の顛末を花子からこっそり聞かされ、一応様子を見ておいてあげた方がいいかと判断した撫子は、もやもやを胸につかえたまま自室のベッドにつっぷし、何をするでもなくゴロゴロとしていた櫻子のそばに腰かけた。

「またひま子とケンカしたんだって?」
「……なんでねーちゃんが知ってんの」
「花子が心配してたんだよ。ま、どうせいつものことだろうけど」
「……」

 櫻子はスマホを置いてゆっくりと身体を起こし、姉の隣に並ぶようにして座り直す。
 本当は悪いと思う気持ちが自分の中のどこかにちゃんと在って、しかしまともに向き合えずに意固地になってしまっているだけというのが、むすっとした表情でうつむくその横顔から十分に伝わってきて、気づけば撫子はしょぼくれた頭に手を伸ばし、手櫛でさらさらと髪を梳いていた。

「……本当は、ケンカなんかしたくないんでしょ。櫻子も」
「……」
「ひま子もたぶん同じだよ。だから、落ち着いたらちゃんと謝んな」
「……うん」

 てっきりケンカしたこと自体を怒られるかと思っていたのに、なぜか優しげな姉の声と手つきを受け、それだけで櫻子は胸の中のもやもやが薄れてすうっと楽になっていくのを感じた。
 そして姉の魔法の手が自然と離れるまで、そのまま大人しく、頭を撫で付ける感触に意識を傾けていた。


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