46:名無しNIPPER[sage]
2024/10/29(火) 22:44:40.49 ID:70RexKYd0
「交代、の時間ですの…」
夏美はほとんど卑屈といってもいいくらいの表情で千砂都に告げた。
もうそんな時間か、と千砂都は思った。イメージトレーニングに没頭しすぎて時間の感覚が狂っていたようだった。
「じゃあお願いしようかな。大丈夫だと思うけど、逃げ出そうとしたらすぐ撃つんだよ?」
千砂都がクロスボウを手渡すと、夏美は「ひっ」と声を上げた後、こくこくと頷いた。
無理だろうな、と千砂都は思った。しかし、人質(人生でこんな単語を使う事になるとは夢にも思わなかった)は逃げないだろうという確信があったので、気にはしなかった。
念のため──仮眠を取る前に、もう一度釘を刺しておく事にしよう。
千砂都は腰からダガーナイフを抜き出し、冷たく光る抜き身の刃を地面に横たわる人質の首筋にぴたりと当てた。
死んだように身動き一つしていなかった花丸の身体が、びくっと反応した。
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