30: ◆b0/EDFEyC136[saga]
2024/08/12(月) 22:18:10.87 ID:92/7nx8r0
『――――お疲れ様、パピヨ――うわぁ!?』
控室の扉が開かれた瞬間、まるで弾丸のように何かが自分の体に突撃してきた――自分の胸に、ごしごしと頭をこすりつけてくるそのウマ娘は。
『……お疲れ、見ていたよパピヨン』
パピヨン「えへ、ありがとうお兄さん――どう、どう?アタシの走り――その目に焼き付けた?」
『勿論、キミの走りをずっと――ずっと見ていたよ』
土だらけの格好で抱き着いてきたパピヨンを、こちらからも抱きしめ返す。頭も撫でてあげると、気持ちよさそうにパピヨンは笑った。
パピヨン「うわ、お兄さんお目目真っ赤じゃん。もしかして……感極まって泣いちゃった?うわ、泣き虫じゃん」
『……そりゃ泣くに決まっているだろ?キミがこの大舞台で――一着を取ったんだ。泣かないトレーナーがいるもんか』
パピヨン「ぷぷぷ……ほんっと、お兄さんってそういうとこだよね」
でもさ、アタシ聞こえたんだ。お兄さんが叫んで――応援する声が。その声を聴いた瞬間、なんだか体に力が湧いて、もっともっと体が軽くなって。
パピヨン「……嬉しかった、嬉しかったんだ。だから、ありがとう。お兄さん」
『お礼を言うのはこっちだよパピヨン。ありがとう、本当にありがとうパピヨン――』
――一層力強く抱きしめる、するとパピヨンも力強く抱きしめ返してくれる。ウマ娘の力だそれをやられるとちょっと苦しいけど、そんなの気にならない。
パピヨン「よし!じゃあお兄さんにお仕事!」
『……ん?』
体を離し、パピヨンが何かを言おうとしている。――これまでパピヨンと付き合ってきた仲だ――なんとなく、分かる。
パピヨン「――――尻尾の手入れ、やーって?うんと綺麗にしてよね」
『……もちろん、やらせていただきますよ。お姫様』
パピヨン「――――んふ、んふふふふっ!」
さっすがお兄さん――期待してるからね?
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