28: ◆b0/EDFEyC136[sage]
2024/08/12(月) 21:52:47.61 ID:92/7nx8r0
――――シルヴァーパピヨン先頭!シルヴァーパピヨン先頭!後続とは3バ身の差!このまま逃げ切ることができるか!?
その実況の声に、周りの観客から声が上がる。決して高くはない人気の日本のウマ娘が先頭を突き進むその光景に、困惑のような驚愕のような声がワーッ!と響く。
今この瞬間、全ての観客がシルヴァーパピヨンに視線を向けている――注目を浴び、度肝を抜かせている。
『――――』
手に汗が握る、心臓が高鳴る。自然と体が前のめりになる。ドバイの大舞台で華麗に前を往く銀の蝶、これが、これがずっとずっと自分と彼女が追い求めていた景色――。
『――行け』
逃げろ、逃げろ、逃げろ!作戦も何も必要ない、自分が思うように、自分が楽しいと思えるように!自由奔放に、自由気ままに!
『行け――!逃げろ、逃げろパピヨン!行けっ!!!』
息が苦しい、呼吸することも忘れて叫ぶ。この声が彼女に届くように必死に何度も叫ぶ。
――ボロボロと涙が零れる、しかし叫ぶ。こうでもしなければこの思いは抑えきれない――!
夢じゃない、これは夢じゃない!あまりにも険しい道だった、心が折れそうになる日もあった、自分はトレーナーを辞めたほうがいいんじゃないかと眠れない日もあった――けど!今はっきりと思う!
『行けぇええええええええええええっっっっっ!!!!!』
――ああ、シルヴァーパピヨンのトレーナーでよかった。この役目は、誰にも渡したくない。渡してたまるもんか。
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