渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2024/04/25(木) 22:49:23.60 ID:7GVnel7qo
気づいたときには逃げ出していた。

手も足も翼もめちゃくちゃに振り回しながら逃げた。

何度も転んだ。何度も堕ちた。身体が言うことを聞かなかった。

どれだけ逃げても、逃げても、逃げても、ボクもうはどこにも辿り着けなかった。

衝動のままに暴れた。

この肉体に宿ったまま永遠に解き放たれることのない天への憧憬は、四六時中、全身を駆け巡る。

この苦しみを少しでも和らげようと、力任せに、手当たり次第に、昼も夜もなく、周囲のものをなぎ倒していった。

眠ることすらままならなかった。

けれど肉体が痺れるほどに暴れたのち、気を失うようにして眠るときだけは、ほんの少しの安らぎがあった。

しかし目覚めは唐突で、抑えきれなくなった衝動に叩き起こされる。

そうなればまた、力尽きるまで暴れるほかなかった。

生き物を殺すと、その生き物を喰った。生き物がいない時は腐肉を漁った。

腹が減っているわけではなかった。ただ、死にたくなかった。


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