656: ◆OX0aJKbZO.0H[saga]
2024/06/13(木) 22:10:20.86 ID:+m04VO4cO
『正座』
パピヨン「はーい、反省してまーす」
――レースが終わってすぐ控室に戻ってきた担当ウマ娘。褒めるでもなく、脚のチェックをするでもなく、最初にしたことはこれだった。
『……はぁ、キミなぁ。前にも言ったと思うが、そういう態度はだなぁ』
パピヨン「え〜?いやいやお兄さん、だって本当のことじゃん?」
――彼女のこういう言動を、自分は嫌われるためにわざとやっている物だと思っていた。が……初めてであった時とは良い意味でも悪い意味でも吹っ切れた彼女が、何故またあんなことを。
パピヨン「楽しかった楽しかった〜。ふんふーん」
……まあ、それはとりあえず後ででいいか。
『はぁ、重賞を勝って調子に乗るのは良いが、あまり乗りすぎると――いや、悪い』
あの態度は問題だが、それとこれは別問題。重賞初勝利、それで調子に乗らなければいつ乗るのか。今パピヨンはウッキウキの笑顔で、尻尾がフリフリ揺れていて。とにかくとてもとても嬉しそうで。
……それに水を差すのは。ダメだろう。
『こほん。パピヨン――重賞初勝利おめでとう。自分も、このレースを見ていてずっと興奮しっぱなしで、なんだか目頭が熱くなってきて――』
パピヨン「うわ、きも〜い!お兄さんなに?そんな自分の事みたいに喜んじゃって、泣きそうになっちゃったの〜?」
『そりゃあ自分の事みたいに喜ぶし感動もするだろ!キミは自分の担当ウマ娘なんだぞ!?』
パピヨン「……!」
ああ、パピヨンはそうやってすぐに茶化してくる。担当ウマ娘の勝利を自分のことのように喜べない奴なんてトレーナー失格だ。当然に決まっているだろう。
『――けどこれはまだ始まりだパピヨン!今後もっともっとレースに出て、勝って、そして――ステラライムに勝つ』
それが目標だもんな、と。パピヨンの両手をぎゅうっと握りしめて、言う。
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