521: ◆OX0aJKbZO.0H[saga]
2024/05/12(日) 00:38:57.67 ID:sAgW740n0
『……次のレースの話をしよう、パピヨン』
夏合宿が近づいてきたある日、トレーニングを始める前にパピヨンをトレーナー室に呼び出す。
パピヨン「次のレース、かぁ。アタシは走れれば何でもいいんだけど――」
『それでも、今回はキミの意見が欲しい。今後キミがどういうレースを望むのか、ある程度指標があったほうがこちらとしてもやりやすいんだ』
――ライムのライバルとしてありたい。だとしても流石にジャパンダートダービー……中距離は、現時点では無理だ。
それにライムの追いかけを何時までもするわけにもいかない。ライムはライムの、そしてパピヨンにはパピヨンのレースがある。
『……短距離でも、マイルでも。次走じゃなくてもこのレースに出走してみたいとかそういうのでも構わない。地方のレースを巡るでも、それこそ海外でも』
パピヨン「ん〜……そう、だなぁ。アタシ的には……沢山走りたい。沢山走ってまず実績を作って、それで……ぷっ」
ぷはっ、あはは!と、突然パピヨンが笑いだす。
『ど、どうした!?』
パピヨン『あー、ごめんごめんお兄さん。いや、前のアタシだったら……言わなかっただろうなぁ、実績を作って〜とか」
――なんせ実績があるとその分人気になって頑張らないといけないから。と、パピヨンは言う。
パピヨン「でも今はそれが欲しいな。まずは慣れないと、まだちょっと……ムリかもしれないけど。少しずつ、少しずつ」
『……そうか。それは……とても、良いことだな』
――成長というのだろう。トレーナーとして、本当に嬉しいことだ。
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