日向「安価とコンマで依頼を解決する」七海「その2だって」
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804: ◆DWp3lSnh.v3L[saga]
2023/09/30(土) 21:05:57.42 ID:kBUcgJoc0

──それは、俺が日課として始めたトレーニング(ランニング)をしている最中のことだった。「偶にはいつもと違う道を走ってみるかぁ」なんて軽い気落ちで古い住宅街に繋がる道を走って行くと──


王馬「あっれ日向ちゃんじゃん。こんな所でなにしてんの? ……まぁ丁度良かったけどさ(ボソッ)」

日向「王馬?」

79期生の超高校級の悪の総統──王馬小吉と、古い駄菓子屋の前で出会ったのだ。


日向「俺は日課のランニング中だけど……。お前は?」

王馬「俺? 俺は悪の総統らしく、自分の事を小学生だと偽って駄菓子屋で大絶賛大人買い中。凄いんだよ、この駄菓子屋! 小学生以下の子は全商品10%OFFなんだ!!」

日向「……またそりゃ色んな意味で微妙な事してるな……」

確かに見た目は小学生にも見える王馬だが、仮にも団員一万人を越える(仮)悪の総統が、随分とコスイ真似を……。つーかそんな袋いっぱいになるまで駄菓子を買い漁るなよ……、どれだけ食うつもりなんだこいつ。


王馬「え? 自分じゃそんなに食べないよ? この駄菓子を餌に、そりゃもうモノすんごい悪事を働こうとしてるんだから!!」

日向「そうか。そんな事を企んでるんなら年齢詐称の現行犯で学園の生徒会に通報させて貰おうか」

王馬「いやいや嘘だって。そんな本気にしないでよ。ほら、黙っててくれるならこれ、あげるからさ」

そう言って、王馬はズボンのポケットから何やらビニールに包まれた大粒のあめ玉のような物を取りだして、俺の手に握らせてくる。


日向「……これは?」

王馬「見ての通り、そこの駄菓子屋で買ったただのあめ玉だけど? ほらほら、早く食べてみてよ!!」

今思えば、この時点でいやーな予感がしていたんだ。なにせあの王馬が寄越してきたあめ玉だ。わさび味とかハバネロ味とか……兎に角碌でもない味のするあめ玉なんじゃないかと俺は警戒していた。


王馬「もしかして日向ちゃん、俺を疑ってるの? こんなにも純粋無垢なこの俺の事を?」

ああそうだよ。お前は純粋無垢のままにトンでもない悪戯をするような奴だからな。内心でそう思いつつ、このあめ玉を食うまでは放してくれそうに無いと悟った俺は、溜息をつきながら憂鬱な気分でそのあめ玉を口の中へと放り込んだ。


日向「……あれ?」

王馬「ほらー。何の変哲もない、ごく普通のあめ玉でしょ?」

俺の予想に反し、そのあめ玉は普通に美味しかった。少々甘ったる過ぎる気もするが、まぁ駄菓子屋で売られている飴なんでこんなもんだろうと、疑問にも思わなかったのだ。


王馬「そうだ! 折角こんな場所であったんだしさ、ちょっと駄菓子談義に付きあってよ!! 俺あれ好きなんだよねー。「すっぱいガムにご用心」シリーズ!!」

日向「……まぁ良いけどさ」

そんなこんなで王馬の駄菓子談義に付きあい始めて約三十分が経った頃。俺の身体に明確に変化が出始めた。


日向(暑い……)

確かに今日も猛暑日で日差しも強いが、ここまで暑く感じたのは初めてだ。何というか、頭がどんどんボーッとしてくる感じがする……、
俺はリュックサックに入れていたペットボトルの水を取りだしてゴクゴクと飲むが、一向に暑さは収まらない。それどころかどんどん強くなっている様に思う。


王馬「あれれー? 日向ちゃんスッゴい汗だよ? そのままじゃ気持ち悪くない?」

日向「ああ……。でも替えの着替えは持って来てるから心配いらな──「そうだ! この近くにさ、格安の銭湯があるんだよ!! そこに行って汗を流してきたら? 暑い夏だからこそ、お風呂にはちゃーんと入らなくちゃね!!」──そう、だな……最近シャワーばっかりだったしな……」

俺はボーッとする頭のまま、王馬に教えられた銭湯へと向かった。銭湯か……実際に行くのは初めてだが、一体どんな感じなんだろう。やっぱり壁のタイルに富士の山が書いてあったりするんだろうか。


日向「ここか……」

王馬の言った場所には、確かに銭湯があった。どこから見てもオンボロで、明日にでも営業を停止してもおかしくないような雰囲気だったが、キチンと「営業中」の看板が出ている。
俺は暖簾を潜り、番台にいるお婆ちゃんに入浴料を払うと、「男」と書かれた方の暖簾を潜って中に入り、汗が染みこんだ煩わしい服と下着をパパッと脱ぎ捨てる。早速中に入ろうと大きな扉を潜ろうとした時、その「警告」は目に入った。


『この銭湯は混浴制です。入浴は自己責任でお願いします』


混浴制の銭湯……。そんなのがあったのか。……まぁ今の時間帯は誰もいないだろうし、そう心配することも無いか。──そう思い直し、再度大きな扉を開けて中へと入る。中は思いの外広かった。そしてやはりというかなんというか、デカデカとした富士の絵が書かれている。……凄いな。俺が思い描いていた「銭湯」のイメージそのまんまだ。なんというかこう、ちょっとテンション上がる。
まぁ兎に角シャワーで身体の汗をサッと流してから中に──



「……創ちゃん?」





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