古美門研介「こんな機会滅多にないぞ」黛真知子「自信がないのかしら?」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2023/08/30(水) 00:22:17.33 ID:tvaETUooO
「君のクラスメイトのお母さんが抗議に見えました。君は彼女にサンタクロースはいないと言ったそうですね?」

当然の帰結として告発され父に尋問された。

「……はい」
「何故そんなことを言ったんですか?」
「本当のことだからです。嘘を信じてるほうが馬鹿だからです」
「サンタクロースが存在しない根拠は?」
「だって嘘だから。居ないものは居ない」
「根拠を示しなさいと言ってます」

当時の私はまだ悪魔の証明を知らなかった。

言った言わない論争でもたびたび見られる。
根拠とは事実に基づくもの。虚構にはない。
何かが存在するという根拠は容易に示せるのに対して、存在しない根拠を示すのは困難を極める。小学生でも考えればわかることだ。

「……見たことないし」
「自分が見たことないものら存在しないというわけですか」
「僕だけじゃなくて世界中誰も見たことないです」
「世界中の人にインタビューしたんですか」

馬鹿げている。子供だと思って舐められた。

「サンタクロースが存在しない根拠は?」

何も反論出来なかった。幼い私は愚か者だ。

「君は根拠もなしに、勝手な見解でクラスメイトを傷つけたわけですね。カステラを買って今すぐ謝罪してきなさい」

根拠を提示すべきは、向こうのほうなのに。

「ちなみにそのお金は君のお年玉のために用意してたものなので、そのつもりで」

愚かな私は、父のその冷たい言葉の真意に気づけなかった。カステラの金額などたかが知れている。残りは全てお年玉として貰える。

「なんで僕のお金で、カステラなんか……」

或いはそれは不器用な父親のクリスマスプレゼントだったのかも知れないが、当時の私はそうと気づかず、買ったカステラを自分で食べた。そして当然の帰結として父にバレた。


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