897: ◆15vHdNAAAEr/[sage saga]
2023/10/31(火) 00:10:25.44 ID:fERDBuF/o
桜野(幸いだったのは、叔母さんたちがとにかく世間体を気にする人たちだということだった)
桜野(どれだけ痣を作っても、硬い瓶や刃物が振り下ろされても、服で隠せない場所は怪我もなくきれいだった。だから学校には行けた)
桜野(年中長袖しか着れなかったとしても、せっかく終わらせた宿題のノートが登校直前にぐしゃぐしゃになったとしても、学校に行くことはできた)
桜野(わたしは学校が大好きだ)
桜野(だって学校に行けばごはんが食べられる。それに誰もわたしをぶたない)
桜野(できるだけ長く居られるように、毎日誰より早く登校して、誰より遅く下校した)
桜野(わたしはいつも家に入る前に深呼吸をする)
桜野(今日もまた気絶するまで嬲られ続ける、そう考えると体が震えてしまう。わたしが怯えると叔母さんたちはもっと面白がるから、そうならないように呼吸を整える)
桜野(気絶するまで嬲られるからといっても、すぐに眠ってはいけない。早くに気を失うと、殴り足りない叔母さんたちがものすごく痛いところを狙うかもしれないからだ)
桜野(起きている時も狙われるし同じくらい痛いけれど、身構えられる方がずっといい)
桜野(家の中でわたしが自由にできるのは、ゴミ箱の隣に置かれたぺちゃんこのクッションだけだ。そこに座ってぼーっとしたり、宿題をやったり、体を丸めて泣いたりした)
桜野(そんな生活は中学生になっても続いた。毎日が傷だらけで、痛みに怯える日々だった)
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