78:名無しNIPPER[saga]
2023/08/15(火) 00:35:05.99 ID:FWncGyjko
「ちょっと、そこの青年!」
周りには誰もいないし、自分のことだろうか?そう思って振り返ると、そこには若い女性がいた。年はわからないが、少なくとも自分よりは年上に見える。
へそが見えるくらい丈の短いタンクトップにジップアップパーカー、そして短パン。そんな格好をしてあるだけあってスタイルはかなりいい。
「…なんですか?」
「わわ、そんな怖い顔で睨むなよ〜」
「…すいません、生まれつきです」
「ありゃ、ごめんごめん」
「それで、何のようですか?」
「アタシはね、探偵をやってる暮林芳野っていうの」
「探偵…ですか」
「そうそう!それで、ちょっとこの辺りの人に聞き込みをしてるんだけど、協力してくれる?」
「…まぁ」
「あんがと!じゃあ早速なんだけど、最近この辺りで怪しい集団とか見なかった?」
怪しい集団?心当たりなら…大有りだ。あのときの取引をしてた連中。あれこそまさにそうじゃないか。
「心当たりがあるんだね?」
黙ってる俺に暮林さんが聞いてくる。
「わかる!わかるよ!いきなり話しかけてきたお姉さん、怪しくて信用出来ないよね?」
いや…そうじゃなくて、なんて言おうか考えてるだけなんだが。
「なら、これでちょっとは信用してくれるかな?」
そう言うと暮林さんは懐から名刺を取り出した。そこには確かに暮林さんの名前と所属している探偵事務所の名前が書かれていた。
「さらに、もう一つオマケしてあげるね。本当は探偵の守秘義務ってのがあるんだけど、トクベツね?」
そう言って暮林さんはウインクする。
「実はその怪しい連中、何でも人身売買をしてるんだとか」
人身…売買?なら俺が見た連中とは違う?だってあの場にはそんな売り買いされたような人間は見当たらなかった。…けど、こんな大事なら一応暮林さんに伝えておくか。
「そいつ等か分かりませんけど、怪しい連中なら東通りの裏路地で見ましたよ」
俺の言葉を聞いて暮林さんが微笑む。
「本当!?いや〜、情報ありがとね。……ん、どうしたの、そのポケット?」
暮林さんは俺のズボンの右ポケットを指さした。それにつられて視線をやると、ポケットの口から白い光が微かに溢れている。
中に手を突っ込んでチラ見すると、光っているのは……杖だ!あの夜、知らない間にポケットに入っていたあの杖!結局どうすればいいか分からなくて放置したままだったんだ。
「…それ、どうしたの?」
心なしか暮林さんの目つきが鋭くなっているように思える。
↓1
1 杖を見せる
2 嘘をつく
3 自由安価で
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