70:名無しNIPPER[saga]
2023/08/14(月) 21:37:44.10 ID:9uCXLN1xo
「そんなに不安になるなら、辞めれば良いんじゃないか?別に罰則とかは無いんだろ?勉学に専念したいとか、それらしいことを言えば向こうも納得するさ」
俺の目を真っ直ぐ見つめていた彼女は力強く頷くと笑顔を見せた。
「わかった!不動くんがそう言うなら、私、そうするよ!」
「ああ。でも、別れ話とかじゃなくて安心したよ」
俺の言葉を聞くと、少し間を開けてから椎名が大笑いした。
「えへへっ、そんな事考えてたの?私が不動くんと別れたがるわけ無いでしょ?」
そう言うと真横にいた彼女は、俺の肩にもたれかかる。
「あ…ああ。だよな」
そう面と向かって断言されると少し照れるが、改めてそう言ってくれると安心するな。今日は散々な一日だったが、最後の最後に良いことがあった。
「さて、と。明日も学校だしそろそろ帰ろっか?」
「…だな」
俺は椎名が差し出した右手を握ると、彼女とともに家路についたのだった。
そんな二人の様子を陰から伺っていた者が数名。
「ほう…。あの二人付き合っているのか」
「街灯の下にいたおかげで顔もしっかり見えた。確かに取引を盗み見してた奴だ。折角見つけたんだ、殺せばよかったろ?」
「いや、ここだと人目も多い。だが二人の仲を利用すれば、我々の領域で人知れず始末できる」
「ま、アンタがそう言うならそれでいいが」
するといくつかの影は文字通り、闇の中へと吸い込まれて消えていった。
昨日の出来事から一夜明けて、俺と椎名はいつも通り学校に来ていた。彼女によれば、数日後にNPOの活動があるから、その時に脱退を申し出るそうだ。
今になってみると、昨日の怪しい取引も幻だったのかもしれないとも思う。朝の登校のときも少しは警戒していたが、追手らしい連中も見つからなかった。これでいつも通りの日常に戻るな。
↓3 椎名がNPOに脱退を伝えに行くまでにあった出来事(コンマの値が奇数ならイベント発生)
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