61:名無しNIPPER[saga]
2023/08/13(日) 00:30:03.33 ID:wu/bYX/Bo
「っ…!」
慌てて窓から顔を離し、こちらが見えないように屈む。暫くしてから身体を起こし、背後を振り返って窓ガラス越しに様子をうかがう。
「……」
どうやら向こうはこっちに気づかなかったみたいだ。
「何かあったか?」
ルームミラーを通して、男性警察官の視線が突き刺さる。
「…いえ、少し、体を動かしたかっただけです」
「…そうか」
それにしてもあの連中、まだ諦めてなかったのか?何を取引してたかさえも見えてなかったっていうのに、どうして…?
そんな事を考えているうちに、警察署に着いたようだ。二人に案内されるまま警察署の中に入ると、他の警察官に遠巻きに見守られながらシャワールームまで案内された。
幸いなことに男性警察官がタオルやらシャンプーやら諸々を貸してくれたため、あの強烈な臭いは取れた。…少なくとも自分で感じる分には。
シャワーを浴びて身支度を終えると、再びあの二人が話しかけてきた。
「それじゃあ、この後は真っ直ぐ彼女さんのとこに向かってあげてね」
「…はい」
「もう廃屋に入るのはやめとけ。次は本当に危ないかもしれないからな」
俺はその言葉を聞いて頷くと、二人に向かってお辞儀をする。顔を上げて警察署から出ていこうとしたとき、男性警察官に呼び止められた。
「おい。一応、名前と電話番号だけ、ここに」
そう言って警察官はメモ帳とペンを手渡してきた。
ここで断ると流石に怪しまれるか?それに名前と番号だけなら、大丈夫…だよな。
「何で今更こんな事聞くんですか?」
婦警が相棒に小声で尋ねる。
「…ま、念のためにな」
警察官はメモ帳を俺から受け取ると、警察署から追い出すような仕草で手を振った。
「それじゃあ…お世話になりました」
そうして警察署の出口の方へと向かう。
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01〜45 周りの様子が…?
46〜 特に何もなし
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