59:名無しNIPPER[saga]
2023/08/12(土) 23:59:50.87 ID:bS7ega+7o
「大事な話…」
椎名はそう言ってた。
……まさか、振られたりしないよな?心当たりなんて……無いが。というか、大事な話なのに遅刻なんて最悪だ……。
そんな事を考えている間にも着信は鳴り続ける。
「出ないの?」
助手席から婦警が尋ねてくる。
「…いえ」
意を決した俺は電話に出る。
「不動くん、大丈夫!?」
開口一番、椎名は不安そうな声で慌てながらそう言った。
「…ごめん」
「ごめんって、何が?」
「遅刻して…」
「遅刻したこと自体はどうでもいいの。ただ、不動くんが遅れてくるなんてよっぽどのことがあったのかと思って、心配で…!」
椎名の声が微かに震えていることに気づく。
「俺は…大丈夫。ちょっと色々あって汚れたから、シャワーを浴びるよ。少し時間がかかるかもしれないから、今日は──」
俺がすべてを言い終える前に椎名が口を開いた。
「いや、待ってるね。でも、ゆっくりでいいからね?」
「…ありがとう、できるだけ急ぐよ。所で大事な話っていうのは…?」
「それは…会って話そ?」
「…うん。それじゃ」
そうして電話を切ると深いため息をつく。
「彼女さん?」
婦警が少し楽しそうな口調で聞いてくる。
「…はい」
「へぇ〜、いいわね!青春って感じで!」
「何言ってる、お前もまだまだ若いだろうが」
男の警察官がぶっきらぼうに口を挟む。
「いやー、まあそうですけど。でも、彼、たぶん学生でしょ?社会の荒波に揉まれた私からするともう眩しくて眩しくて」
「ま、確かに毎日酔っぱらいの介抱ばっかじゃな」
相棒の警察官は笑いながらそう吐き捨てた。
「とにかく、彼女さんに会うなら尚の事、署でキレイにしていかないとね!」
「…ですね」
確かに大事な話だっていうのに、こんな姿じゃな…。
そんな事を考えながら窓越しに流れる景色を見ていると、見覚えのある人影が写った。
「嘘だろ…」
あれはさっきの怪しい取引をしてた奴ら!しかもさっきより数が増えてる気が…。
その時不審者達の一人がパトカーの方に視線を向けてきた。
↓1 コンマの値が奇数なら目が合った
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