120:名無しNIPPER[saga]
2023/09/09(土) 20:45:30.27 ID:Me/gvQj3o
「…分かりました」
すると高木が顔を上げるよりも先に、椎名が不動の肩をつかんだ。
「そんなの駄目だよ!」
彼女は目に涙をためながら続ける。
「捜査員の人達がいたって、不動くんが……酷い目に遭う可能性はあるんだよ!?もしそんな事になったら…!」
実際、椎名が自分と同じ選択をしたら止めるだろうと不動は思った。それでも、今回は譲れない。
「もし保護が打ち切られたら…俺だけじゃなく、椎名やご両親だって危ない」
「だからって…!」
不動は椎名の手に優しく触れる。
「それに…いつまでもこんな生活は続けられない。椎名ともっと…普通に、幸せに過ごしたい。その為なら俺は、どんなこともしてみせる」
椎名はまだ何かを言おうとしたが、それをぐっと呑み込んだ。不動とは長い付き合いだからこそ、分かったのだ。こうなった彼は譲らない、と。
「…分かった。でも!私も絶対付いて行くから!」
「椎名……」
本当は彼女にはずっと安全な場所に居てほしかったが、同時にその言葉が不動には嬉しくもあった。自分の決意と同じく、彼女もまた譲らないであろうことも彼には分かっていた。
「わかった。絶対に守ってみせるから」
「…うん!」
二人の話が一通り終わったのを確認して、高木が頭を上げる。
「本当に、ありがとうございます。そして巻き込んでしまって申し訳ありません。ですが、その引き換えに必ずお二人をお守りし、元の生活に戻れるよう全力で取り組みます!」
再び頭を下げる高木に向かって、二人もまた頭を下げた。
その後、二人は家族を何とか説得し、本格的に捜査に協力することが決まった。早速、高木から全体についての説明が行われた。そこでの話によると、いくつかの手掛りがあるらしい。
↓3まで
杖の居所または密猟組織についての手掛り
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