【悲報】夢魔の集落に男一人で流れ着いてしまった【たすけて】【安価スレ】
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32:名無しNIPPER[saga]
2023/07/10(月) 00:25:54.28 ID:CVb+SlwFO
「で、私が大人の人を呼んできて応急手当してもらったの。私たちでどうにかなる怪我じゃなかったしね」

そういうことだったのかと、胸の傷の治りが遅かった真相が判明し青年は膝を打った。
他の重傷部位を治すために敢えて治癒を遅延させていたのではなく、そもそも治しようがない状態が長引いていたから傷が塞がらなかったのだ。
剣が盛大にブッ刺さってる状態では傷を塞ぐことができない。無理に引き抜こうとしたら、周りの肉が引っ張られて大惨事不可避である。
そうなるのを認識していたのかはともかく、そこで中断してくれたエルのファインプレーには感謝する他ない。
大人を呼んで適切な処置をしてもらうように頼んだナルもまた同様に。

しかし、運命とは斯くも数奇なものだ。信を置いていた者に裏切られた哀れな人間でさえも、見捨てることなく受け入れる者がいた。
裏切られ奈落に堕ちたのが運命ならば、それに巡り逢えたのもまた運命であり、奇跡と言える。

全ての物事は奇跡の上に成り立っていると、どこかの偉人が言葉を残していた。
その言葉に従うなら、今の自分は様々な奇跡が重なり合った結果、こうして命を繋いでいるのだろう。

万感の思いを込め右手を握る。自身を葬ったロスヘイムの現在が、なんとなく気になった。


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