「今日からあなたは、仮面ライダーです」 せつ菜「へ?」
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55:名無しNIPPER
2023/05/26(金) 04:42:04.82 ID:D4E0iWxj0
〜サロン

秀秋「クソッ……あのロボ野郎……ムカつくくらい強いな」

夏雄「あぁ。シークレットミッションでこいつを引き当てたけど、正直……コレ単品でも勝てるかどうかわからないな」スッ

秀秋「……ブーストバックルか。俺のゾンビなら、奴をぶった斬れる可能性があるけどな」

夏雄「けど、ブーストタイムを使えるのは一度きりだ。ミスったらそれこそ詰む」

千春「なら、一番火力がある私のモンスターバックルと使えば!」

秀秋「それで、確実に外装まるごとあいつを倒せんのか」 

千春「……いや、どう、なんでしょう」

夏雄「そう考えると……一番可能性がありそうなのは、菜々ちゃんか。博打に近いけど、ソレがあるなら」

せつ菜「……」

 会話が、頭に入ってこない。
 気付けばサロンで、力なくソファに倒れこむばかりで、視界は涙で濡れっぱなしだった。

秀秋「おい、聞いてんのかよ」

夏雄「……戦う気がないなら、そのバックルは貰ってくよ」スッ、ガチャッ

千春「ちょ、勝手に持ってっちゃ……!」

せつ菜「……」

 私の腰から何か外れる感覚がした……誰かが、私のバックルを外したんだろう。
 
秀秋「……戦う気がねえ奴は、デザイアグランプリに必要ねえ。その金キラは俺が使う、寄越せ」バッ

夏雄「そうだな……二人がかりでブーストフォームになった方が、可能性は高いかもしれないな」

千春「……菜々ちゃん。いいの? あの二人に任せっぱなしで、手柄取られちゃっていいの!?」

せつ菜「……手柄を挙げて、何になるんですか。目の前で、友達が食べられて……動けなくなって……こんな、仮面ライダーに相応しくないような、私が……いたところで……!」

夏雄「……菜々ちゃん、冬樹の奴がなんて理想を叶えようとしてたか、知ってるか?」

せつ菜「……」

夏雄「アイツ……『世界中の人に余裕があって、優しくなる世界』って願ってたんだよ。誰もが平和に暮らせる、優しい世界を」

せつ菜「そう、なんですか……」

夏雄「そんな凄い願いを持ったアイツが、君のために命をかけるつもりで戦って、脱落して、君に後を託した。そんなアイツの思いを、君が裏切るのか」

せつ菜「裏切るも、何も……私じゃ、背負いきれない重さだったんです……彼の掲げた理想は、私に背負えないものだったんです」

夏雄「……誰だって、辛いことや泣きたくなるようなことはある。理想の世界を叶えるデザ神になるためなら、当然のことだ」

せつ菜「っ! ……こんな辛い思いをしてまで! 理想の世界を叶えるくらいなら! 最初から……参加しない方がずっと良かったです……!」

 大切な友達を失うくらいなら、こんなに心に苦しい思いを背負うくらいなら。
 元の生活で、楽しくスクールアイドル活動をやっていたかった、仮面ライダーになんてならなきゃよかった。

夏雄「だったら! もう二度と零すな!」

せつ菜「……え?」

夏雄「大切な友達を失う瞬間ってのは確かに辛い、俺だって前回のデザイアグランプリで、友達が目の前で退場する瞬間を見た。
けれど、俺は今仮面ライダーとして戦っている! もう二度と、大切なものを手から零さないように、守るためにだ!」

せつ菜「大切なものを……手から、零さない……」

夏雄「それに。君の友達は仮面ライダーじゃない。だから……まだ助かる見込みはある」

せつ菜「助かる、見込み……」

夏雄「……俺の言えることはソレ限りだ。秀秋、行くぞ」タッタッ

秀秋「うるせ、命令すんな」スタスタ



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