「今日からあなたは、仮面ライダーです」 せつ菜「へ?」
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名無しNIPPER
2023/05/25(木) 19:42:40.87 ID:9EEUcMjc0
突然のことで、何が起きたのかが分からなかった。
ただ、眩暈がするほどに朦朧としていた意識がはっきりとするくらいの衝撃が突然やって来た。
あちこちが痛んだ体は、突然硬い地面に倒れて更に痛みを訴えてたけど。
何故か、私の顔やお腹は柔らかいものに守られていて、目を開けても、暗くて何も見えなかった。
副会長「っ、あ……は、は……ごほっ、ぅ、ぁっ……」ドプッ
せつ菜「え……? ふ、ふく、会長……? そ、それ……なん、で……」
副会長「ぁ……生きて、る……は、ははっ、せつ菜ちゃん、を……守れ、て……よかっ、た……」
私を守ろうと、生身のまま飛び込んできてくれた、ひ弱な彼女は。
背中からお腹までを、ロボジャマトの太い触手に貫かれていて……制服も、白い肌も、真っ赤に染められていた。
ぽたぽたと垂れる血が、私の服にかかるたびに「これは現実だ」と無情に教えてくる。
副会長「……逃げ、て……せつ菜、ちゃん……」グッ、ガクッ
せつ菜「あ、あぁ……ヤだ……そんなの、ヤだ……! 副会長……! ふくかいちょぉ……!」
副会長「……」
ロボジャマト「ジャジャ〜(いっただきまーす)」シュンッ、パクーッ
私を、命がけで守ってくれた彼女は。ひと呼吸の間に目の前からいなくなっていて。
彼女がそうせざるを得なかった状態を作った元凶の、栄養源にされてしまった。
せつ菜「あぁ……あああああ……! 嫌……いやっ……! いやあああああああっ!」
仮面ライダーなのに、正義のヒーローなのに、戦わなきゃいけないはずなのに。
私の体は動いてくれなくて、無力な子供みたいに、頭を抱えてその場に蹲ることしか出来ない。
私の知っている仮面ライダーだったら戦うことが出来た、辛さを堪えて、マスクで覆って、戦えるハズだった。
けれど、私にそんなことは出来なかった、未熟な子供でしかない、弱くてちっぽけで、友達一人守れないような、弱い私には。
夏雄「っ……秀秋、菜々ちゃんもボロボロか……! いったん退くぞ!」ブーストライカー!
せつ菜「あ──」ガシッ、ビューンッ
目の前で人々を蹂躙しているロボジャマトの攻撃を潜り抜けてきた赤いバイクに乗った東条さんが、動けない私と佐藤さんを拾い上げて走り出す。
いつもの私なら、バイクに引っ張られれば声を上げていただろうけれど、今はそんなことすら出来ずに放心していた。
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