27: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/12(木) 12:07:42.83 ID:7Lt++ad/0
栞子「──……私は、龍神様にお仕えする巫女をしていました……」
歩夢「その龍神様が……私たちが音ノ木の頂上で見た、レックウザだったんだよね……?」
栞子「……はい」
歩夢「レックウザ……すごく怒ってたけど……」
栞子「……すみません」
歩夢「あ、ご、ごめんね、責めてるんじゃなくて……。どうして、怒ってたのかなって……」
栞子「それは……私が封印を強めて、閉じ込めていたからなんです……」
侑「閉じ込めていた……?」
せつ菜「翡翠の巫女は龍神様のお世話をする存在なのではないんですか?」
栞子「本来はそうなのですが……。……龍神様は地方に何かしらの異変が起こると、地方のポケモンたちを守るために外に出て行かれてしまうことがあるんです……」
リナ『それって、何か問題があるの?』 || ╹ᇫ╹ ||
栞子「はい……。……龍神様はポケモンは守りますが……基本的に人間を守る気はないんです」
歩夢「え……?」
歩夢が困惑した声をあげた。
いや、困惑したのは歩夢だけじゃない……私たちもだ。
侑「昔聞いたお伽噺とかだと……龍神様は、この地方を見守ってくれてるって聞いてたから……てっきり、私たち人間も見守ってくれてるんだと思ってたんだけど……」
せつ菜「私もそういう理解をしていました。……違うんですか……?」
栞子「それを話すには……少しオトノキ地方の歴史に触れないと説明が難しいのですが……。長くなってしまうので……」
歩夢「……わかった。とりあえず、龍神様はポケモンを守るけど、人のことは守ってくれないから、解き放つと大変って理解しておけばいい?」
栞子「はい、概ねその理解で合っています。私たち翡翠の民は、そういうときに龍神様の怒りが世界に向かないように鎮めるのが役割なんです……。……そして、どうしても鎮めきれない場合……翡翠の巫女は儀式によって、龍神様の力を一時的に封印するんです」
リナ『一時的にってどれくらい?』 || ╹ᇫ╹ ||
栞子「龍神様が落ち着かれるまでです……。……3年前は私の巫女としての力が未熟だったため、外に出て行かれてしまったんですが……今回はどうにか、抑えていたんです」
歩夢「ま、待って……! 落ち着くまでずっと抑えてたって……事件が起こったのは、もう半年も前だよ……?」
栞子「……はい。ですから、半年間……抑え続けていました」
歩夢「栞子ちゃん一人で……!? 半年間も……!? そんなことしたら、倒れちゃって当然だよ……!」
栞子「……ですが、それが翡翠の巫女の役割なんです……」
その封印の儀式というのが、具体的にどういうものなのかわからないけど……それでも、半年間ずっと怒れる龍神様を抑え続けていたのは、栞子ちゃんにとって相当な負担だったに違いない。
どうりで、あんなに疲弊しきっていたわけだ。
むしろ、事情を聞いてからだと……1日眠っただけで、ここまで快復出来たことの方が驚きかもしれない……。
せつ菜「……あれ? でも、栞子さんは龍神様を抑えられていたんですよね……? でも、龍神様は……?」
栞子「はい……。……封印の儀式を継続している最中に、幼馴染が──ランジュが現れて、儀式を中断させられてしまったんです……」
それは薫子さんに聞いた話とも合致する。問題は……。
侑「どうしてランジュちゃんはそんなことを……?」
せつ菜「私たち、ランジュさんには音ノ木の頂上でお会いしているんですが……」
栞子「そうだったんですね……。……ですが、私にも理由がわからなくて……」
歩夢「ランジュちゃんは何か言ってなかったの……?」
栞子「……すみません……龍神様が解き放たれたときの衝撃で……私は気を失ってしまったので……」
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