17: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/12(木) 11:52:44.29 ID:7Lt++ad/0
■ChapterΔ002 『翡翠の巫女』 【SIDE Yu】
私たちは……あの後、音ノ木の大きな根っこに腰掛け、歩夢を待っていた。
侑「……ここに居れば、歩夢は戻ってくるんだよね……?」
せつ菜「薫子さんは、そう言っていましたね」
リナ『少なくとも、サーチはずっと続けてるから。サーチ範囲内に歩夢さんの反応があったら、すぐに知らせるよ』 || ╹ᇫ╹ ||
侑「うん、お願いね。リナちゃん」
まさにそのときだった──突然目の前に、先ほど歩夢が消えた時と同じ光が発生する。
侑「……! これって……!」
リナ『! 歩夢さんの図鑑の反応! 目の前から!』 || ╹ᇫ╹ ||
リナちゃんの言葉と共に──
歩夢「──外……出られた……! ここは……音ノ木の根本……?」
歩夢が飛び出してきた。
侑「歩夢……!!」
「ブイ!!」
せつ菜「歩夢さん!!」
歩夢「! 侑ちゃん! せつ菜ちゃん!」
私たちは歩夢に駆け寄る。その際──歩夢の背中に、女の子が背負われていることに気付く。
しかも、その子は──
女の子「………………ぅ、ぅ…………」
脂汗を掻き、顔面蒼白で、苦しそうに呻き声をあげている。
侑「そ、その子、大丈夫……!?」
歩夢「そうだ……! この子、すごい高熱で……今すぐにでも病院に連れて行かないと……!」
せつ菜「ここからだとセキレイの病院が近いはずです……! すぐにでも移動して──」
女の子「…………病院、は……やめて……くだ、さい…………」
歩夢「栞子ちゃん……!?」
歩夢に栞子と呼ばれたその子は苦しそうな息遣いのまま、
栞子「……私たち……翡翠の一族は…………表、舞台に……立っては……いけない…………病院は、困り、ます…………」
歩夢「でも……! 栞子ちゃん、すごい熱が出てて……!」
栞子「……ですが……病院は……ダメ……です……」
頑なに病院に行くことを拒否する。
栞子「……お願い……します……」
歩夢「でも……」
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