高木さん「うん。西片とお幸せに、だって」西片「っ……からかわれても、困るよ」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2022/12/25(日) 02:22:12.03 ID:5WLZequMO
「どうして西片まで落ち込んでるの?」

きょとんと首を傾げる彼女は不思議そうだ。
オレは振られた名も知らぬ人に対し同情することが出来なかった。そんな自分が嫌いだ。

「高木さん」
「なに?」
「やっぱり隣に座ってくれない?」

こちらだけ座っていると見上げる形となってさっきから歳上にしか見えない。彼女には隣に居て欲しかった。隣の席の高木さんには。

「…………」
「…………」

意外と素直に座ってくれた隣の席の高木さんと黙って道ゆく車を眺める時間はそう悪いものではなかった。先程より気分が良くなり。

「ところで振られた人は大丈夫だった?」

ようやく不幸なその人に気遣いが出来るくらい回復したことを、質問を通じてアピールすると、高木さんも調子を取り戻したらしく。

「うん。西片とお幸せに、だって」
「っ……からかわれても、困るよ」

そう言ってからかうように笑う高木さんにオレは何と返せば良いのか。わからない。わからないけど少なくとも気分は悪くなかった。

「でもやっぱりショックだったみたいでさ」
「……そっか」
「泣きながら脱糞されるとは思わなかった」
「フハッ!」

申し訳ない。それでも、この愉悦はオレだけのもので外的要因によるものではない。オレの頭がおかしいことを謹んで、謝罪しよう。

謝った上でその不幸を嗤い飛ばしてやろう。

「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
「ふふふ。待ってた甲斐があったね、西片」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

止めどなく吐き出される哄笑という名の愉悦は寒気で白く染まり、少なくとも真っ赤な嘘よりは綺麗なものだと、オレはそう思った。


【待たせ上手な高木さん】


FIN


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