62: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/18(日) 20:17:20.60 ID:X9ltvPdj0
かすみ「“げんきのかけら”、まだまだありますよっ!!」
侑「……っ……!! もう!! いい加減にしてよっ!! いつまでやるつもりなのっ!!?」
かすみ「侑先輩の根性が直るまでですっ!!!」
侑「余計なお世話だよっ!!! 私はもう戦いたくないんだよっ!!!」
かすみ「それが甘ったれてるって言ってるんですっ!!!!」
侑「私が戦いたくないって言ってるのに、なんの権利があって、戦うことを強制するのっ!!!?」
気付けば子供の喧嘩のような口論になっていた。
でも、もううんざりなんだ、
侑「ここまで旅して、頑張ってきて、少しは強くなったって思ってたけど──本当に強い人の、足元にも及んでなかった……っ!!! そのせいで、ポケモンたちをたくさん傷つけてっ!!!!」
私のポケモンたちは可哀想になるくらいボロボロにされて、
侑「リナちゃんが壊されて……っ……!! せつ菜ちゃんもおかしくなっちゃって……っ……!!! 千歌さんも攫われて……っ……!!! しずくちゃんもいなくなっちゃった……っ……!!!」
そして、私の脳裏に浮かんだのは、歩夢の言葉。
──『もう……もう、やめてください……っ……!! これ以上、侑ちゃんたちに、酷いことしないで……っ……!! か、果林さんに……ついていきます……だから、もう、酷いこと……しないで……っ……』──
そして、ポロポロと涙を零しながら、私たちのために、いなくなった……歩夢の姿。
侑「私が弱いせいで──歩夢にあんなこと言わせたんだ……っ……!!!! 私のせいで……っ……!!!! 歩夢もいなくなっちゃったんだ……っ……!!!!」
──もう、私には、
侑「私には……っ……!!!! もう、なんにも残ってないんだよっ!!!!!!!」
かすみ「──まだっ!!!!!! かすみんがいますっ!!!!!!!!!!!!!」
侑「……っ!?」
かすみ「まだ、かすみんが残ってますっ!!!!! だから……っ!!!! だからぁ……っ……! そんな、悲しいこと……っ……言わないでよぉ……っ……」
侑「かすみ……ちゃん……」
気付けば、かすみちゃんは大粒の涙をぽろぽろ零しながら──泣いていた。
私は……急に脚の力が抜けて、へなへなとその場にへたり込む。
──考えてみれば、当たり前だった。かすみちゃんだって、不安なんだ。
でも、その不安に必死に立ち向かおうと、前を向こうとしていたんだ。
それなのに、私は……一人で勝手に落ち込んで、かすみちゃんに八つ当たりして……。
俯く私に向かって、かすみちゃんはしゃくりをあげながら──
かすみ「ぅぐ……ひっく……っ……それに……っ……侑先輩の冒険の旅は……っ……ぐす……っ……歩夢先輩がいなくなっちゃったら……全部、無くなっちゃうものだったんですか……っ……?」
侑「え……?」
そう、訊ねてきた。
……私がこの旅で、見つけたモノは──何もかもなくなってしまったのか、と。
「ウォー…」「ライボ」「ロンチ」「ニャー」
私の旅は──歩夢がいなくなったら、全部無くなっちゃう?
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