549: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/03(火) 12:27:10.65 ID:Sh64zN700
果林「キュウコン、“ひのこ”!!」
「コーーーンッ!!!」
男「あ、あちぃっ……!?」
果林「さぁ……盗ったもの……返しなさい。返さないなら……痛い目に合わさないといけないの……だから……」
男「か、勘弁してくれ……家族を食わせるためなんだ……」
果林「…………キュウコン、やりなさい」
「コーンッ」
──窃盗は特に多かった。
土地が減れば、資源も食糧も乏しくなる。いつも誰かが誰かの住処と食糧と──命を奪い合っているような世界。
そして……私も、その一部だ……。
果林「…………」
彼方「……あの人……しばらく投獄されるって。常習犯だったから……お手柄だって、上の人が言ってたよ……」
果林「…………」
彼方「……果林ちゃん……」
果林「…………あの人の家族は……きっと、飢えて死ぬ……。……私が……殺したようなものだわ……」
私は寮のベッドの中で横になり、丸くなって、頭を抱える。
そんな私を見て──彼方はベッドに腰かけ、私の頭を撫でる。
彼方「果林ちゃん……果林ちゃんが辛いなら、彼方ちゃんと同じ防御部隊に回してもらうようにお願いしない……? 彼方ちゃんもお願いするから……」
果林「…………いい。……今は……一人にして……」
彼方「果林ちゃん……。……わかった。……あとでご飯持ってくるから、一緒に食べようね」
──きっとこれは私の役割だ。そう思っていた。
だから、上の人間には、彼方は防御部隊の隊長が適任であると、何度も伝えていた。
そして……私が攻撃部隊として……全てを排除すれば、彼女が辛い戦いをすることも減る……そう考えて、戦い続けた。
彼方には……誰かから奪うなんて似合わないから。
👠 👠 👠
──警備隊に入って1年ほど経ったある日、
果林「政府主導の研究機関に統合される……?」
彼方「うん、そうらしいよ〜」
二人で食事をしているときに、彼方からそんな話を聞かされた。
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