527: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2023/01/02(月) 13:57:09.56 ID:VUrl28Mg0
🎙 🎙 🎙
せつ菜「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」
「ワォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
向かってくる大火球に向かって、ウインディが全身全霊の炎で迎え打つ。
とんでもない炎熱を肌で感じる。
だけど、
せつ菜「負けるかあああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」
「ワォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!!!」
雄叫びをあげながら、立ち向かう。
──熱くて熱くてたまらない、苦しいはずなのに、今は、この瞬間が、この戦いが、終わって欲しくない。そんな気持ちでいっぱいだった。
そうだ。私が大好きなポケモンバトルはこれだったんだ。
ただ強い人と全力でぶつかり合って、胸が熱くなる。この瞬間が大好きだったんだ。
だから私は──ポケモンバトルが大好きだったんだ。
……ふと、思う。
私はいつから、この気持ち忘れてしまっていたのだろうか。
いつから勝ちにばかり拘るようになってしまったんだろうか。
いつから──選ばれることに拘るようになってしまったんだろうか。
本当は、『特別』だとかそんなこと、どうでもよくて──ただ、この楽しくて大好きな時間を、ずっとずっと味わっていたかった。ずっとこの中にいたかった。それだけのはずだったのに。
お父さんにポケモンを取り上げられそうになった瞬間、なくなってしまうと思った瞬間、怖くなってしまった。
だから私は、在り方ばかり考えて、ただ──結果だけを示そうとして。
でも違った。そうじゃなかったんだ。私の本当の気持ちは、強い自分を見せつけることなんかじゃない。実績を誇示して納得させることなんかじゃない。
ただ──私がポケモンを、ポケモンバトルを大好きだって気持ちを──伝えなくちゃいけなかったんだ。
せつ菜「……気付くのが遅いよ……私……っ……」
涙が零れて──炎の中で一瞬で蒸発する。
取り返しの付かないことをしてしまった。
大好きなポケモンで──人を傷つけてしまった。
許されないことを、してしまった。
これが終わったら……私はもう、ポケモントレーナーではいられない。
だから。きっとこれが最後だから──
せつ菜「全部の炎ッ!!!!!!! 出し切ってッ!!!!!! ウインディィィィィィィィィッ!!!!!!!!!!」
「ワォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!」
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