415: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/30(金) 14:04:16.24 ID:loIPccok0
■Chapter063 『ハルカカナタ』 【SIDE Kanata】
「メェ〜〜」
彼方「……ふぃ〜……危なかったぜ〜……」
“コットンガード”によって、自分の体毛をこれでもかと大きく膨らませたバイウールーの綿毛から顔を出しながら、汗を拭う。
エマ「あ、ありがとう……彼方ちゃん……。バイウールーも……」
「メェ〜」
彼方「エマちゃん、怪我してない?」
エマ「うん、お陰様で……」
テッカグヤの攻撃で地面が崩れ落ちる中、咄嗟にバイウールーの綿毛で自分たちを包み込み、そのまま落下してきた。
バイウールーの特性が“ぼうだん”だったこともあって、崩れ落ちる岩を防げたのも大きい。
彼方「それにしても……大分落ちてきちゃったね……」
エマ「うん……」
見上げると、私たちがさっきまでいたであろう場所が遥か高くに見える。
エマ「彼方ちゃん、早く上に戻ろう……!」
彼方「……いや、まずはエマちゃんを逃がすのが先」
エマ「え……」
彼方「説得は失敗した。……当初の作戦どおり、まずはエマちゃんを戦域から逃がすのを優先するよ」
エマ「ま、待って……! もう少し……もう少しお話し出来れば……!」
彼方「……」
確かに、エマちゃんの言葉は、元仲間のわたしも驚くほど、果林ちゃんの動揺を誘っていた。
……もしかしたら……エマちゃんなら、時間を掛ければ本当に果林ちゃんを説得出来ちゃうのかもしれない。
でも……もう戦闘は始まってしまっている……。
エマ「彼方ちゃん……お願い……! もう一度、果林ちゃんのところに連れていって……!」
彼方「エマちゃん……」
「──その必要はありませんよ」
彼方・エマ「「……!」
上空から声がして、顔を上げる。
そこには──
姫乃「……何故なら、ここで私が始末するからです……」
姫乃ちゃんが空からわたしたちを見下ろしていた。
腕のバーナーから炎を噴き出し、飛行するテッカグヤに乗って。
エマ「あ、あなたは……さっきの……」
彼方「……まさか……あなたがここにいるとは思わなかったよ〜。……姫乃ちゃん」
姫乃「…………」
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