264: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/24(土) 00:24:21.35 ID:ITfcLIGe0
■Intermission🎙
──私たちがウルトラディープシーに来て、数日……。
せつ菜「……私たちはいつまでここにいるんでしょうか……」
しずく「果林さんたちが迎えに来てくれるまでですね♡ きっともうすぐですよ♡」
しずくさんはそう言いながら、どこから取り出したのか、ネチャネチャと音を立てながら、すりこぎで何かを作っている。
せつ菜「……何を作っているんですか?」
しずく「歩夢さんのご飯です♡」
せつ菜「ご飯……? それがですか……?」
しずく「はい♡」
──当の歩夢さんは今も……頭にウツロイドを乗せたまま、洞窟の壁にもたれかかったように座っている。……というか、さっきしずくさんがそこに座らせていた。
しずく「はーい、歩夢さん♡ ご飯の時間ですよ〜♡」
しずくさんはそう言いながら、歩夢さんの口元にスプーンを持っていく。
歩夢さんの唇に、スプーンがちょん……っと触れると、歩夢さんは小さく口を開ける。
しずくさんはその小さく開いた口の中に、スプーンを滑り込ませる。
せつ菜「……! 歩夢さん……意識が……?」
しずく「ほぼ無意識で食べているだけだと思いますよ」
せつ菜「反射……ということですか……?」
しずく「毒に侵されたとしても、お腹は減るでしょうしね♡ 人間食欲には勝てません♡」
考えてみれば、ここに来て数日経ったわけだし……今まで歩夢さんが水も食料も取っていなかったとは考えづらい。
それに、しずくさんが妙に手慣れている。
せつ菜「もしかして……私の知らない間に何度か食事を……?」
しずく「はい♡ せつ菜さんがウツロイドを撃退している間に、何度か♡」
せつ菜「なるほど……」
しずく「今の歩夢さんは、固形物を食べさせたら喉を詰まらせてしまいますから。こうして、離乳食みたいにして食べさせてあげてるんですよ♡」
歩夢「…………」
「──ジェルルップ…」
しずく「はーい♡ 歩夢さん、次ですよ〜あ〜ん♡」
まるで雛の餌付けのようだが……歩夢さんは今、こうして誰かが世話をしてあげないと……生きていることさえ出来ないのだ。
それも……私たちが……こんなことをしているから……。
そう考えたら……急に気分が悪くなってきて、私は口元を押さえて蹲る。
しずく「……せつ菜さん、大丈夫ですか?♡」
せつ菜「…………。……私は……貴方が羨ましい……」
しずく「どうしたんですか、急に?♡」
せつ菜「……私は……貴方のように、割り切れない……」
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