116: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/20(火) 00:33:28.01 ID:B+X5AS2s0
愛「せっつー頭良いしさ……あのテロを起こしたのも果林のバンギラスだったって、すぐに気付くよ?」
果林「たぶん、せつ菜は私に利用されてることには、薄々気付いてるわよ」
愛「……マジ? 反逆されたりしない?」
果林「大丈夫よ。あの子は……自分の言葉を曲げられない──いえ、自分の言葉に縛られると言った方がいいかもしれないわね。そんな不器用な子なのよ」
せつ菜は、良く言えば素直だけど……悪く言えば愚直だ。
天真爛漫で無邪気さがあり、自分のやりたいことへはひたむきだが──裏を返せば、自信家でプライドが高く、思い込みも激しい。
チャンピオンになると宣言してしまえば、それ以外の方法を選べなくなってしまうし──自分で力を求めて、その力で誰かを傷つけてしまったら……もうそこから逃げられなくなる。
きっと今彼女の中では、自分は蛮行を行い……もう、戻れないところに来てしまったと、そう感じているのだろう。
その証拠に彼女は──『もう、帰る場所なんて……ありませんから……』──と口にしていた。
果林「彼女は自分で、自身が悪に染まる道を選んでしまった。その自覚があの子の中にあり続ける以上、簡単に裏切ったりはしない……出来ないわ」
愛「なんか、せっつーについて随分知った風じゃん?」
果林「どこかの誰かさんと似てるのよ。……自信家でプライドが高いところとか……特にね」
せつ菜を見ていると……時折、鏡を見ているような気分になることがある。
だからこそ……あの子が追い詰められたとき、どんな行動をするかが手に取るようにわかったし……彼女を唆すための作戦が、あまりにうまく行きすぎて……自分が少し怖くなったくらいだ。
果林「だから、せつ菜は裏切らないわ」
愛「ふーん……。ま、果林がそう言うならいいけどさ」
せつ菜は絶対に裏切れない。自分が一度ついてしまった陣営も──自分自身の言葉にも。
そして……『もう戻れない』と言うせつ菜と同じで、私も──
果林「──……そう……もう……今更、戻れないのよ……」
愛たちに聞こえないくらいの小さな声で、そう呟くのだった。
………………
…………
……
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