3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/11/29(火) 22:07:44.11 ID:YXL4S2fqO
「というわけで、石田」
「改まって、なんだよ」
手を繋いだまま、立ち止まって見上げる石田は大人でオレはまだまだガキのまま。だけど姉ちゃんを名前で呼べない石田と精神年齢ではいい勝負が出来そうだ。だから提案する。
「オレと付き合えば?」
思えば、これが初めての告白だった。何が悲しくて姉を虐めていた加害者に初めてを捧げてしまったのか理解出来ないけれど、少なくとも生きるのを手伝って欲しいのは姉だけではないということだと無理矢理納得しよう。
「結絃にはきっともっと良い相手が居るよ」
そう言われても特に悲しくなかった。きっとそれは、これが恋ではなかったからだろう。
自分を満足させる為だけの告白に過ぎない。
「石田にも姉ちゃんが居るしな」
そう言って笑うと石田は真顔でこう囁いた。
「お前、可愛くなったな」
言われて顔が熱くなった。慌てて顔を背け。
「に、逃した魚はデカく見えるからな……」
「ああ……そうだな」
我ながら意味不明な例えを口にすると石田は笑って流す。そんな態度をされても特に悔しくないし腹も立たない。手も繋いだままだ。
手を繋いでると心が震えるのも気のせいだ。
15Res/7.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20