157: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:03:59.34 ID:PtCBDhPH0
一週間後、ファンクラブの連絡で、早苗さんが近くの街にイベントで来ることを知った。
ユニット『セクシーギルティー』でのトークショーの後、新曲のお披露目と握手会が開催されるそうだ。
158: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:04:28.73 ID:PtCBDhPH0
後から知ったが、握手会は先着100名の狭き門だった。
質問が一つだけ許されるそうなので、どうしても聞いてみたかったことを聞くことにした。
159: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:04:58.33 ID:PtCBDhPH0
(動いてる……!そこに居る……!)
トークショーでも、LIVEでもとにかく頭にあったのはほとんどその言葉。
160: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:05:29.88 ID:PtCBDhPH0
新曲の披露が終わって、僕はもう魂が抜けたような感覚だったけれど最後の力を振り絞って握手会の行列に並ぶ。
少しずつ、少しずつ距離が縮まっていく。
161: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:05:59.56 ID:PtCBDhPH0
「はじめまして!よね!?」
自分の番になって、戸惑ってしまった僕の手を、早苗さんは強引に両手で手を掴んできた。
162: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:06:29.29 ID:PtCBDhPH0
目の前の早苗さんは、夢で見た早苗さんなんかよりも、もっともっと魅力的だった。
決して、手に届かないところに居るんだということを実感できるほどに。
163: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:06:59.05 ID:PtCBDhPH0
最後の方は、もう殆ど聞こえていないのではないだろうか。
怖くて、怖くて目を伏せてしまった。周りが少しざわついているような気がする。あぁ。終わった。
164: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:07:30.01 ID:PtCBDhPH0
握手会を終えて、さっきまで早苗さんに包まれていた右手と、頬を交互に左手でなぞりながら家路につく。
そう、秘密だ。早苗さんもまた、秘密の恋をしているんだ。そういうことにしておこう。
165: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:07:59.59 ID:PtCBDhPH0
君を想って、この後ずっと生きてゆこう。
それでいい。
166: ◆xMUmPABXRw[sage]
2022/12/08(木) 23:08:45.10 ID:PtCBDhPH0
【Scene [ FRIENDS U] ある密かな恋 ― 了 ―】
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