【ミリマス】げき子「鈍色の光を見つけて」
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8: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/11/25(金) 00:07:25.07 ID:YjhaJr8i0

扉の先、黒い暗幕を潜り抜けると、そこは舞台袖だった。
演出用の機材や大道具が所狭しと並べられていて、その奥には袖幕の隙間からステージが見えた。

ステージの上は、小さな蛍光灯でまばらに照らされているだけだった。
機材の横をすり抜けながら辺りを見回したけれど、自分以外誰もいないようだった。
辺りは少しだけ肌寒くて、シューズの擦れる音がよく響いた。

思い切って、私は舞台袖から飛び出した。
すると、たった数歩で、私の世界は変わっていった。
目の前がいきなり開けて、たくさんの客席が目に飛び込んできた。
一階席は、あんなに奥まで席が並んでいる。二階席だって、あんなに上の方までファンの人たちが集まるんだ。

二番、一番……〇番。
ここが、ステージの真ん中。

大勢のお客さんで埋まった客席を想像して、なんだか胸が温かくなった。
たくさんの歓声が飛び交って、ペンライトの光を浴びて……。
みんなは、こんなに素敵な場所で公演をしているんだ。

ねえ、私の色って何色かな?
今の私はまだ、何にも染まっていない透明で……。
でも、きっとこれから色づいていくんだよね。

この場所でならきっと、私だけの色が見つけられる気がした。
みんなと一緒なら――。


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