19: ◆Kg/mN/l4wC1M[saga]
2022/11/25(金) 00:16:30.54 ID:YjhaJr8i0
「……星梨花ちゃんは、強いね」
ぽつり、そう溢れた。
「……劇場を出ていく琴葉ちゃんたちを見て、みんなどんどん先へ進んでいっちゃうんだな、って思ったの」
そのときのことが、瞬きするたびに瞼の裏に浮かぶ。
あのときの私の心は、暗く悲しい気持ちで押しつぶされそうになっていた。
だけど、今なら、少しだけ言葉に出来そうな気がする。
やっぱり――私は、劇場のみんなのことが大好きなんだ。
みんながアイドルとして輝いているのを見て、それで私も何か頑張りたい、応援したい、って思ったんだ。
それなのに……。
「みんなの力になりたい、って思うのに……私が劇場のみんなにしてあげられることって、何もないんじゃないか、って……」
今までずっと、言葉にする事ができなかった。
それを声に出してしまったら、本当のことになってしまいそうだったから。
私が劇場に居る理由も、何もかも消えて無くなってしまうような気がして――怖かった。
今だって、身体の中が全部ぐちゃぐちゃにかき回されたみたいで、息をすることさえ苦しい。
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