992: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/16(金) 02:24:12.75 ID:eLOLjL7n0
理亞「神様の中には……罰を与えるときに人から心を奪う神様もいるって……希さんが前に言ってた」
真姫「……」
そう言いながら私は、病室の棚に置かれている──ピンクダイヤモンドの欠片に目を向ける。
真姫「……ねぇ、理亞」
理亞「なに?」
真姫「もし、ディアンシーが聖良の心を奪ってしまったんだとしたら……どうするの?」
理亞「……わからない」
私は静かに首を振った。
理亞「ねえさまには帰ってきて欲しい……。……だけど、ねえさまがしたことは許されないことだったのは、わかってるつもり。その上で、ねえさまの心を返してなんて……ディアンシーに向かって言っていいのか、わからない……」
真姫「理亞……」
理亞「まぁ……どちらにしろ、今はディアンシーに会う方法がないし……」
ルビィも、ディアンシーに会ったのは、3年前のあのときが最後だって言っていた……。
クロサワの祠の“やぶれた世界”へのゲートも気付いたら消滅してしまっていたと聞く。
そうなると、ディアンシーとコンタクトを取るのはほぼ不可能と言っても過言ではない。
理亞「……真姫さん」
真姫「なにかしら」
理亞「しばらく……ねえさまと二人にしてもらっていい? おかしなことしないって約束するから」
真姫「そんな約束しなくていいわ。好きなだけ一緒にいて大丈夫だから」
理亞「……ありがと」
真姫さんは私の肩を優しく叩くと、そのまま病室を後にした。
理亞「ねえさま……」
聖良「………………」
理亞「ねえさま……っ……」
病室の中では、無機質なバイタルサインの音と──私がねえさまを呼ぶ声だけが、静かに響いていた。
………………
…………
……
⛄
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