943: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/14(水) 12:23:58.79 ID:A5BOh9Vw0
せつ菜「結局……貴方は選ばれたから、なんですか……? 私は選ばれなかったから……勝てないんですか……? そんなの……そんなのって……っ……」
力無く項垂れる私の背後から──
「──……そうよね、酷いわよね」
女性の声がした。
聞き覚えのある、声だった。
せつ菜「果林……さん……?」
果林「酷い……酷すぎるわ……」
そう言いながら、彼女は私のことを後ろから抱きすくめる。
果林「選ばれた人間が……選ばれなかった人間をめちゃくちゃにする。……どんなに頑張っても、結局選ばれた人たちだけが、笑って、貴方たちの努力あざ笑う」
せつ菜「…………」
果林「可哀想なせつ菜……。でも、大丈夫よ、せつ菜……」
果林さんは私の頭を優しく撫でながら、私の耳元で、
果林「──私が、選んであげるから」
そう、言葉にした。
せつ菜「え……?」
果林「貴方に……『特別』な力をあげる」
『特別』──その言葉は……今の私には、あまりにも甘美な響きだった。
果林「私と一緒に、来なさい……せつ菜。私が貴方を──『特別』にしてあげる」
せつ菜「…………はい」
今の私は、その甘い毒に、抗う術を持っていなかった──
………………
…………
……
🎙
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