936: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/14(水) 12:12:54.47 ID:A5BOh9Vw0
■Intermission🎙
せつ菜「……ここ、ですね……。エアームド、下に降りてください」
「ムドー」
夜が明けて──私たちがやってきたのは、クロユリシティのちょうど北西部に存在する大きなカルデラ湖。その中心に鎮座している火山島だ。
未だに活発な活火山で、名前は──天睛山(てんせいざん)、とりわけその火山洞は天睛の火道(てんせいのかどう)と呼ばれています。
活火山なだけあって、危険を伴う場所で、人があまり近寄らず、街から繋がる道もない。大きなカルデラ湖から中央の火山島へ渡る船などもないため、ポケモンの力を借りずに来る方法はほぼないと言っていい。
──果林さんから貰ったメモには、『オトノキ北の火山洞奥。20〜』とだけ書かれていた。
オトノキ北の火山と言われたらここしかないし、20〜というのは20時以降を示しているものだろう。
ただ……。
せつ菜「本当にこんな場所に千歌さんが来るのでしょうか……」
流れ出す溶岩を横目に見ながら、私は溶岩洞に足を踏み入れる。
溶岩洞窟内は大きさこそあるものの、入り組んだ道ではなかった。
溶岩洞の入り口から真っすぐ進んでいくと、大きな広間のような空間に出る。
せつ菜「入り口は一つしかありませんでしたし……もし来るんだとしたら、ここに居れば必ず鉢合わせるはず……」
だだっ広い空間ではあるが、赤熱した溶岩のお陰で洞窟内は意外と明るかった。
その光景自体は自然の力強さを感じる幻想的な風景ではあるのだが──
せつ菜「さすがに……暑いですね……」
ドロドロとした溶岩がそこかしこに見られるだけあって、非常に暑い。
私は暑さにはかなり耐性がある方だけど……それでも、ずっと居たくはないと思うくらいには暑かった。
せつ菜「本当に、ここに千歌さんが来るの……?」
何度目かわからない自問。
千歌さんがここに来ることが想像できない。出来ない、のだが……。
せつ菜「当てもなく探し回るよりは、いい……はず」
何せ、彼女がどこにいるかは本当に見当が付いていないのだ。
もし来ないのであれば、それはそのとき考えればいい。
今は、もし彼女がここに訪れたらどうするかを考える方が建設的だ。
──これから彼女とするであろう、戦いのシミュレーションを。
一匹一匹手持ちのボールに触れながら、戦い方を頭の中で思い浮かべる。
千歌さんの手持ちとどう渡り合うかを一つ一つ考えて。
せつ菜「……」
正直、不安はあった。
今の私で勝てるのか。
今の力で通用するのか。
でも、
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