859: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/10(土) 16:19:07.22 ID:hRdoaDre0
しずく「……でも、それは鞠莉さんが子供のときの気持ちを思い出してくれたから、うまく行っただけであって……ポケモン側が変わってしまったら、難しかったんじゃないかって……」
歩夢「……? どういうこと?」
しずく「……マネネってすごく子供っぽいポケモンなんです。主人の“まねっこ”をしたがる……そんなポケモン」
歩夢「うん」
しずく「でも……進化してバリヤードになったら、そういう子供っぽさはなくなるそうなんです……」
歩夢「……。……もしかして、マネネに進化して欲しくないから、あんまりボールから出してなかったの……?」
しずく「……意識してそうしていたつもりはなかったんです。……だけど、今、歩夢さんから言われて……ああ、私、そう思ってたのかもしれないって……」
いつも、私の近くで無邪気に子供っぽく、“まねっこ”をしていたマネネが、違う姿になってしまうことが、うまく想像出来なかった。
想像出来なくて……もし、変わってしまったマネネは、どうなってしまうのか、私を見てどう思うのか……なんだか、そんなことを無意識に考えてしまっていた自分に気付いてしまった。
しずく「本当はこんなこと考えちゃいけないことはわかってるんです……。大切な手持ちが成長するのは、トレーナーとして喜ぶべきことですから……」
ただ、この短い間にあまりにいろんなことがあって……。私の中に少しずつ迷いが生まれ始めて……。
しずく「姿が変わったら……私はどう映るのかなって……。……私は……今の私に……自信が、ないんです……」
だって私は──いつ自分がおかしくなっても、不思議じゃないから。
今でも、私の心のどこかで──ウルトラビーストの毒が私を蝕んでいる気がするのだ。
もし、私が私じゃなくなったら……私のポケモンたちは私をどう思うんだろう。
一番付き合いの長いマネネは、もし私がおかしくなってしまっても……きっと私の傍にいてくれる。そう思えたけど……もし、マネネが進化して、今のマネネじゃなくなったら……。
しずく「私……ダメですね……」
歩夢「……しずくちゃん」
しずく「……進化して欲しくなかったら……かすみさんみたいに、進化キャンセルをすればいいんですよね……でも」
だけど、かすみさんと私では少し事情が違う。
かすみさんは可愛いポケモンに拘りがあって……その上で強い。無理に進化させなくても、ポケモンたちを信じられるし、その強さを引き出せる自信があるのだ。
ポケモンたちも、かすみさんが望むものを理解して、かすみさんを信頼している。
だから、彼女と彼女のポケモンたちにとっては無理に新しい姿を手に入れる必要はないのだろう。
だけど、私は……私が進化して欲しくないのは、私が不安なだけなのだ。
しずく「……私の事情で、ポケモンたちの成長を止めてしまうのは……私のエゴなんじゃないかって……」
歩夢「……そっか」
しずく「……ごめんなさい。……変ですよね、こんなこと悩んでるなんて……」
歩夢「うぅん。そんなことないよ。ずっとお友達だったポケモンの姿が変わっちゃったら、びっくりしちゃうの、わかる気がするよ」
そう言いながら、歩夢さんは肩の上で鎌首をもたげているサスケさんの頭を撫でる。
「シャボ」
歩夢「私もね、サスケがアーボックに進化したらどうなっちゃうのか、想像出来ないもん」
「シャボ」
しずく「そういえば……サスケさんのレベルだと、もうアーボックに進化していてもおかしくないですよね」
歩夢さんもかすみさん同様、サスケさんには進化キャンセルをしているんだと思っていたけど、
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