761: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/05(月) 21:02:27.08 ID:6bHKz0F20
鞠莉「……ふふふ」
善子「何笑ってんのよ」
鞠莉「さすが、わたしの弟子だと思って」
善子「誰がマリーの弟子よ……」
鞠莉「あなたの言うとおり、あんなに感情豊かなAIは今の技術では作れない……」
善子「じゃあ、あのリナってポケモン図鑑は何?」
鞠莉「逆に聞くけど、なんだと思う?」
善子「……」
ああもう……この人のこういうところが苦手だ。
ただ、何故こんなまどろっこしい訊き返し方をしてくるのか。それを考えればなんとなくわかった。
善子「……マリーも知らないってことね」
鞠莉「正解。いや、正確には、確信が持てていないだけだけどね」
善子「……もう一度聞くけど、あのリナってポケモン図鑑はなんなの? いや……違うか──」
私は、この質問では不十分だと思って言い直す。
善子「──私にあの子を託して、どうするつもりだったの?」
あのポケモン図鑑は、侑の手に渡らなければ私か、千歌の手にあるはずのものだった。
確認をしなかった私の落ち度だけど──当初は本当に図鑑データ収集の雑用をさせられると思ったし──この人選には、意味がある。
善子「私か千歌にあのポケモン図鑑を任せるってことは──自分であんまこういうこと言いたくないんだけど……マリーにとって信頼のおける人物の手に置く必要があった」
鞠莉「……続けて」
善子「そして、何故マリーの手元にあるだけではダメなのか。……あの子により多くのデータを与えるため。言うなれば……リナに進化を促す、とでも言えばいいのかしら」
恐らく自己学習型のAIだと言うのは少し会話をしただけでも、想像に難くない。
なら、そのために必要なのは経験だ。それを得やすい人のもとに預けておくのは理に適っている。
鞠莉「……ふむ。当たらずとも遠からずね」
善子「そりゃ、どーも……」
とはいえ、私の推測で考えられるのはここまでが限界。
ここでマリーから正解と言ってもらえなかったということは──私には知りえない情報がまだあるということだ。
鞠莉「リナを成長させたいというのは合ってるわ。あなたの考えているとおり。ただ、進化って言うのは……正確じゃないかな」
善子「まあ……成長でも進化でも、表現はなんでもいいんだけど……」
言い回しに拘るのは、ある意味研究者らしい返答だ。
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