730: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/12/04(日) 12:15:47.61 ID:iC9FggQ30
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かすみ「……ぜぇ……はぁ……はぁ……。……ま、まだ思ったより……距離が……あった……」
「ガゥ?」
クリフの麓に到着する頃には、かすみさんは息絶え絶え、満身創痍な状態だった。
しずく「かすみさん、大丈夫?」
かすみ「……しず子……足速くない……? かすみん普通に追い越されたんだけど……」
しずく「ポケモン演劇部で走り込みとかしてたからね。演劇は体力必要だから」
文化部だから、体力がないように思われがちですが、実は運動神経は良い方なんです。
球技は……苦手なんですけど……。
かすみ「そんなのずるい〜……」
しずく「ずるくありません。それじゃ、あとでジュース奢ってね?」
かすみ「ちぇ、わかったよー……セキレイ戻ったらね」
しずく「よろしい」
何のジュースを奢ってもらおうかなと考えながら──すぐ傍に聳えるカーテンクリフに目をやる。
かすみ「……本当に壁って感じだね」
しずく「うん……」
これが自然に出来た物だとは、にわかに信じがたい。
神様を信じているわけじゃないけど……神が創ったなんて言う人が出てくるのも頷ける。
垂直に近い形で天に向かって伸びている岩のカーテンは、並大抵の鳥ポケモンでも飛んで越えることが出来ないと言われている。
しずく「……。……出てきて、アオガラス」
「──カァーー!!!」
しずく「上まで、飛べる?」
「カァー」
訊ねると、アオガラスは翼を羽ばたかせながら、垂直に飛翔していく。
かすみ「なになに? どうしたの?」
「ガゥ?」
しずく「今の私たちで、どこまで行けるのか、試してみたくって……」
きっと、アオガラスのままでは難しい。
案の定、下で見ていると、岩の壁の中腹辺りで、アオガラスがバテ始めているのが見て取れた。
しずく「アオガラスー! 無理はしなくていいからねー!」
「カ、カァーー…!!!」
そろそろ限界のようだったけど……アオガラスはバタバタと翼を羽ばたかせて、少しでも高く飛ぼうとする。
しずく「無理しなくていいって言ってるのに……」
かすみ「アオガラス、見栄っ張りですねぇ」
しずく「かすみさんには言われたくないと思うけど……」
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