611: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/28(月) 12:24:06.58 ID:9EuEq8f90
──海の方から、何かが呼んでいる気がした。
その声に引き寄せられるように、波打ち際に視線を向けると──
侑「え……?」
それは、落ちていた。
波打ち際に、ぽつんと。
角の取れた、丸石のような、でも、それは石じゃなくて──
歩夢「侑ちゃん、これって……」
侑「──ポケモンの……タマゴだ……」
そこにあったのは──ポケモンのタマゴだった。
🎹 🎹 🎹
あの後、旅館に戻って、志満さんにタマゴの落とし物があったこと、探している人がいないかを訊ねたけど、
志満「──……少なくとも、この旅館には心当たりのいる人はいなかったわ……」
宿泊客に確認を取ってくれた志満さんからは、そんな回答が返ってきた。
この旅館の前の浜辺で拾ったから、誰か知っている人がいないかなと思ったんだけど……。
美渡「志満姉〜、役場にも確認してみたけど、タマゴの落とし物探してるみたいな届け出はなかったよ〜」
そんな風に志満さんに報告をしているのは、先ほど話に聞いた、千歌さんのもう一人のお姉さんの美渡さんだ。
志満「ありがとう美渡。……っていうことで、私たちにはそのタマゴのことはちょっとわからないわね……」
侑「そうですか……ありがとうございます」
歩夢「どうしようか、そのタマゴ……」
侑「う〜ん……」
誰か落とした人がいるならその人に返したいけど……。
美渡「誰も持ち主が居ないなら、貰っちゃってもいいんじゃないかな?」
侑「え、でも……」
美渡「もしかしたら、誰かの捨てたタマゴとかなのかもしれないし……」
志満「こら、美渡! 滅多なこと言わないの!」
リナ『……でも確かに、その可能性はある。強いポケモンを厳選する人の中には余らせたタマゴを捨てちゃう人もいないわけじゃない』 || ╹ᇫ╹ ||
歩夢「タマゴって……ポケモンみたいに“おや”はわからないの?」
リナ『タマゴは生まれたときに、一番近くにいた人が“おや”になる。だから、まだ“おや”と呼ばれる人間は決まってない』 ||  ̄ ᇫ  ̄ ||
美渡「それに、タマゴは元気なトレーナーと一緒にいないと、孵化しないって言うしさ……警察とかに届けて持ち主が現れるのを待つのもありだけど……その間ずーっとタマゴのまま待ち続けるのも、気の毒だなって思うし」
志満「それはまあ……そうねぇ……」
侑「うーん……」
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